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大愚道場 IN サンフランシスコ〜新たな試みと気づき〜

2025 4/26
寺町ニュース 寺町行事報告
2024年6月21日2025年4月26日

➤ 今回は、2024年5月11日にサンフランシスコで開催された大愚道場の様子を紹介します。

目次

期待を胸にサンフランシスコへ

 開催当日の朝、私は少し緊張しながらも、期待感いっぱいで目を覚ましました。そして、3回目の参加となる、アメリカ開催の大愚道場へと、胸を躍らせながら車で向かいました。

 今回の道場は初の試みとして、参加者の大切な人、たとえばパートナーや子ども、友人など、1人を伴い参加できるというものでした。私もアメリカ人の夫と一緒に参加する予定で楽しみにしていましたが、夫の体調不良のため、1人での参加を余儀なくされました。

 サンフランシスコの街を抜け、治安の悪化に驚きながらも駐車場に車を入れ、開催されるビルの前に到着しました。階段を上ろうとすると、ドアが開き、以前ロサンゼルスの大愚道場で会ったことがある日本人の女性と、彼女のご主人に出会いました。

 彼女は会場がまだ開いていないことを教えてくれましたが、近くに時間をつぶせそうなカフェも見当たらないため、私はドアの前で待つことにしました。

 数分後、他の参加者も次第に集まりはじめました。みなさん早速、自己紹介をはじめ、アメリカに住んでいる日本人ならではの物おじしない様子に、私も自然とその輪に入って楽しく談笑しました。

なつかしい顔との再会に心温まる

 会場前が少しずつにぎやかになってきた頃、予定より30分早くドアが開き、教化部部長の慈香さんが顔を見せました。そして、会場内には同じく教化部の副部長・浩月さんが。久しぶりに会うお2人の素敵な笑顔に迎えられ、懐かしさとうれしさでいっぱいになりながら、私は席に座り、周囲を見回しました。

 会場になったビルの会議室は、アンティークな本が並ぶ、おしゃれで格調が高く、居心地のよさを感じさせる場所でした。

 しばらくすると、福厳寺の僧侶である知哲(ちてつ)和尚が入室。いよいよ道場の開始が近づいてきたことを知り、身が引き締まります。

 今回の大愚道場は、椅子を2つずつ並べた列が3つ作られ、参加者はそれぞれ同伴者と一緒に座っていました。そうしたなか、私は1人で座っている女性に気づき、声をかけ、隣の席に座らせてもらうことにしました。

緊張と興奮に包まれる瞬間

 会場の雰囲気が徐々に盛り上がるなか、大愚和尚がお寺で作務をしている動画が流れ、佛心会員の智子さんが紹介をはじめました。今回の道場は、日本語がわからないパートナーや友人のために、英語の通訳がスタンバイ。これも初の試みです。

 さあ、いよいよ大愚和尚の入場です。YouTubeで見ている和尚がすぐそこにいる事実に、多くの参加者は緊張と興奮が入り混じった表情を見せながら、大きな拍手で迎えました。

 目の前に現れた和尚は、自らいうように、それほど大柄ではなく、特に体の大きなアメリカ人に囲まれると、やや小柄な印象を受けます。

 しかし、ひとこと言葉を発した瞬間に放たれる、圧倒的なオーラ。場内にいる誰もがたちまち惹きつけられ、皆ひとことも漏らすまいと真剣に話を聞き、メモを取るなどしています。私も集中しながら、和尚の一言ひとことに耳を傾けました。

 通訳を交えながらのお話や、和尚お得意のジョークが飛び出すなか、ときおり披露される流暢なイギリス英語。

 「さすが、大愚和尚!」と感動している間にも、和尚が導く自己の内面を見つめる旅は、どんどん進んでいきます。

体と心を結びつける禅の体験

 「仏教は知識ではなくて実践です」と和尚はいいます。アメリカではマインドフルネスや禅が脚光を浴びていますが、実際にそれが何なのか、わかっている人は少ない、とも。

 「山にこもって修行することが悪いわけではありません。でもそれだけでは、世の中は変わらない。私はこうして仏教の話をすることで、少しでもみなさんが苦しみを手放し、明るく幸せな人生を送れるよう、手助けができればと思っています」。

 今回の道場では、実際に私たちは体を使ったアクティビティをいくつか行いました。

 たとえば、「重観(おもみ)の稽古」(気づきの練習)。水の入ったペットボトルをゆっくりと右手で持ち上げ、その重さを感じながら左手に持ち替えて、キャップをあけ、ゆっくりと口に持っていき、なかの水をゆっくりと味わい、またキャップを閉めて元に戻す。

 何の変哲もない、ふだん私たちが何気なくやっている動作です。しかし、これを意識してやることで、一つひとつの動きと感覚に気づくことができるのです。

 2人1組になって行うワークショップでは、相手を持ち上げたり、持ち上げられたり。その際、持ち上げられた側は、頭のなかで「羽が生えてフワフワと浮いている」「足に根が生えている」などとイメージします。

 すると、持ち上げている方は、相手が抱くイメージによって、体重が変わったように感じてしまうという不思議。私と一緒に組んだパートナーは、私が自分の足に根が生えていると想像した瞬間、「重い」と思わず口に出しました(苦笑)。

 これでわかるものは何か。それは「体と心が通じている」という体感です。

 心の問題を考えたり変えていくためには、まず自分の体の感覚に気づく。これが禅の基本であり、足の指1本1本に意識を向けていくなど、たくさんの練習が行われました。

普遍の真理と向き合う

 「真理は普遍です」という言葉で和尚が説明されたのは、水は上から下へ流れるというように、地球上に住んでいる限り、どこに行っても変わらない自然の法則について。同じように、仏教の教えも真理であるといいます。

 「生老病死」という現象は、どんな人にも平等に訪れるもの。「諸行無常」の言葉が示すように、あらゆるものは変化し、最終的には死へと向かうのです。

 しかし、アンチエイジングが騒がれるように、自然の流れに逆らうことが、あたかも美徳であるような風潮があります。それを追い求めれば求めるほど、苦しくなり、少しでもシワが増えたり、肌がたるめば、必死でなんとかしようとするイタチごっこに陥ります。

 そうではなく、これらの現実を受け入れる。それが苦しみを手放すための鍵になる。限られた一生のなかで、自分に何ができるのか。それこそが仏教の真髄であるのです。

 どこの国に生まれたとか、肌の色が薄いとか濃いとか、背が高い低いとか、どの親から生まれたとか。それは変えることのできない宿命。だから受け入れるしかありません。

 しかし、自分の人生を自分で選び、よりよい人間として生きていくことはできる。人生は自分で作り上げていくもの。その部分においては、変えることができるのです。そのためには、まずは自分の無知に謙虚に気づくことです。

 仏教の教えに「四諦八正道」というものがあります。大愚和尚はそれに、もう一つ「正体」を付け加え、「九正道」として解説。そのなかで特に「正しく見る」「正しく感じる」、そして「正しく体を使う」ことの重要性を説明されました。

アメリカの抱える問題に迫る

 和尚はアメリカの問題点も指摘されました。アメリカの個人主義や競争社会について触れ、多くの人々が抱える苦しみについて言及しました。

 私たちは、幸せはお金や物質的な豊かさがもたらすと考えがちです。しかし、アメリカはこんなに豊かな国であるにもかかわらず、苦しんでいる人が非常に多いという現実があります。

 また、和尚は薬物中毒をはじめとする、さまざな依存症の実態にも言及。麻薬、風俗、アルコール…。私たちの生活にもはや不可欠なスマートフォンも、中毒を引き起こし、心と体をむしばむ原因になりかねない、とも。

 物質的な豊かさは、必ずしも心の豊かさにつながらない。真の幸せとは物やお金ではなく、内面的な充実からくるものであり、人格を高め、他人や社会のために自分ができることをしていく。それを追求することの重要性を、和尚は強調していました。

心温まる瞬間と未来への期待

 今回の道場に参加して感じたことは、自分の心に気づき、変えていくためには、まず自分の体の動きに敏感になることが重要だということ。実践を通じて、足の指先など、普段は意識しない部分の感覚に気づくことが、いかに難しいかも痛感しました。

 また、心で感じたことが体に伝わると実際に体験できたことは、非常に貴重な経験でした。相手の心をかたくなにするか、自分の方に歩み寄ってもらえるかどうかは、自分の心の持ち方によって変わってくるという事実。聞いたことはあっても、実際に体験すると、かなり衝撃的でした。

 この経験を通じて、正しく感じることの大切さを、また少し理解することができました。自分の感覚に敏感になることで、心の変化にも気づきやすくなると感じました。

 今回のワークショップは、自分自身を見つめ直すよい機会となり、多くの気づきを得ることができました。この貴重な体験を今後の生活や仕事に活かしていきたいと思います。

 サンフランシスコの道場は、初参加の方が大勢おられました。

 初めは少々硬い表情でパートナーと一緒に来られた方も、最後は満面の笑みを浮かべ帰って行かれたのが印象的でした。

 初対面なのにすぐに打ち解け、談笑しながら一緒に会場を後にする参加者たち。見ていてとても心温まる光景でした。

 佛心の輪。それは確実に、アメリカの地に広がっていると実感しました。大愚和尚は、来年もアメリカを訪問されるとのこと。ならば次回こそ、私は夫と一緒に参加したいと思います。

(感想、メッセージは下のコメント欄から、よろしくお願いします。by寺町新聞編集室)

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エンジェル 恵津子のアバター エンジェル 恵津子

アメリカで音楽療法の仕事に携わりながら、異文化、人との出会い、心の問題、社会などをテーマに執筆。日々の経験や感じたことを、心理学や仏教の教えと重ねながら、「逆境のエンジェル」「カルチャーブリッジ」などで綴っている。歌、折り紙、スヌーピー、和スイーツが好き。

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コメント

コメント一覧 (6件)

  • 美福 より:
    2024年6月22日 6:03 AM

    サンフランシスコでの大愚道場の様子を、詳細にそして的確にご報告いただいてありがとうございます。行間から感動や笑い声が聞こえてきそうな生き生きとしたレポート。参加された方にはその時の興奮や学びを思い起こさせるでしょうし、機会を逃した方には来年こそはと期待させてくれますね。一期一会を大切に、日々の生活に教えを活かしながら精進したいと思います。

    返信
    • エンジェル 恵津子 より:
      2024年6月26日 12:25 PM

      美福さん、コメントありがとうございます。

      今回も新しい方が沢山おいでになったので、是非、来年も多くの方に参加いただいて、アメリカの地にさらに佛心の輪がが広がることを楽しみにしています。

      私も、学んだことを日々生かしていきたいと思っています。

      返信
  • 智 より:
    2024年9月7日 8:36 AM

    これまで大愚道場に参加したことはありませんが、参加者の方の目線でとても分かりやすくご説明されていらっしゃり、来年はぜひ参加してみたいなと感じました。

    ありがとうございました。

    返信
    • エンジェル 恵津子 より:
      2024年9月11日 12:17 PM

      智さん、コメントありがとうございます。

      アメリカにお住まいですか?大愚道場、とてもオススメです。
      参加された際には、また、ぜひ感想などを教えてください。

      返信
  • いづみ A より:
    2025年4月28日 12:58 AM

    去年の大愚道場の様子をとても生き生きと文章になさっておられますね。新たにあの時に和尚様から教えていただいたことをまた思い出すことができました。また、今会のベイエリアでの大愚道場でお会いできることを楽しみにしております。

    返信
    • エンジェル 恵津子 より:
      2025年4月29日 11:17 AM

      いづみさん、ご無沙汰しております。
      投稿をお読みいただき、また温かいコメントをお寄せくださり、ありがとうございます。
      今回もベイエリアでの大愚道場にご参加されるとのこと、とても嬉しく思います。
      お会いできるのを心より楽しみにしております。どうぞ道中、お気をつけてお越しください。

      返信

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