寺町の風

植物には人間の知らない“知性”がある?〈寺町の風〉

こんにちは、寺町編集室の原田です。

最近の東京は春の陽気かと思えば、一転して冬日になるなど、寒暖の差が続いています。コンディションも崩れやすい季節の変わり目は、どうか皆さまも体調に気をつけてお過ごしください。

さて、あなたは今ごろの時期に咲く“ザゼンソウ”という花を、ご存じでしょうか。

その名の通り、僧侶が座禅をする姿に重ねられ、また全体の形は仏像の光背(こうはい:光り輝くさまを目に見える形に表現したもの)にも例えられます。

かく言うぼくも本物を見たことはないのですが、この植物はおどろくべき特殊能力をもっています。

まだ雪が降り積もる寒い季節に、この花は自ら発熱して氷や雪を溶かし、顔を出すのです。

たとえ外気温が氷点下になったとしても、安定して20℃以上の熱を生み出し続けるといいます。

その詳細なメカニズムは最新の科学でも未解明。生命の神秘は、ほんとうにはかり知れません。

さて、ぼくはこうした自然の驚きに触れると、以前に目が離せなくなった「植物は〈知性〉をもっている」というタイトルの本を、思い出します。(著:ステファノ・マンクーゾ)

その内容は決して、ファンタジーやスピリチャルの話ではありません。

植物研究のパイオニアである、著者の教授はこう言います。『植物は肺がなくても呼吸し、胃腸がなくても新陳代謝し、目はなくても光のある方向に伸びる。では脳がないから考えないと、なぜ言えるのだろう』と。

そうしたメッセージに始まり、匂いで昆虫とコミュニケーションをとる種や、一か所におなじ遺伝子をもつ草を植えると、たがいに生存競争を避けるなど、「えっ」とおどろく例が並べられます。

そして『草木は動物のように動けないからこそ、生存のために、人間よりもはるかに鋭い感覚を持っている。どんな環境にも適応できたからこそ、何億年も繁栄してきたのだ』。

このように語られ、その道理には深く納得させられました。

ちなみに冒頭のザゼンソウについては、この本で触れられているわけではありません。

しかし、もし人間が雪を溶かそうと思えば、さまざまな計算を行って、装置を開発する必要があります。

そうした能力さえ獲得している植物は、ほんとうに知的な生命体ではないかと、そのように感じられてなりません。

さて、これからもう少し経って温かい季節になると、さらに多くの草花が芽吹きます。春には多くの方がお花見に出かけ、「きれいだな」と言いながら、桜を見上げることでしょう。

しかし実は、そのとき花たちの方もまた、あなたのことをジッと見つめているかもしれません。

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by寺町新聞編集室

ABOUT ME
原田ゆきひろ
寺町新聞の執筆・取材を担当。Yahoo!ニュース歴史・文化ライターとしての顔も合わせ持つ。小学生の秘密基地から南米のアマゾン川まで、どこへでも探訪。そこにある興味や発見、人の想い。それらを分かりやすい表現で、書き綴るのがモットー。趣味は環境音や、世界中の音楽データを集めて聴くこと。鬼滅の刃とドラゴンボールZが大好き。 ※写真は歴史衣装・体験中の筆者
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