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太古の記憶につながる儀式|アマゾンの侍(第4話)

2025 5/21
連載記事 アマゾンの侍
2024年11月5日2025年5月21日

➤ この記事について

筆者の原田が原始時代のような南米のアマゾン川の大自然を旅して、世界の見え方や価値観が変わった、一連の体験をお伝えするシリーズです。ぜひ「こんな世界や価値観もあるのか!?」など感じつつ、お読みいただけましたら幸いです。

≫第3話はコチラ

目次

原初のような密林にて

ジャングルに生える草木は大小さまざまですが、中には巨大な枝葉の植物が集中している場所もあります。

そうした中を歩いていると、巨人の国にでも入り込んだ気分になりました。

現地民が使う密林の小道は、頻繁に使われていないからか、蔓や枝が行く手を塞いでいます。そうした中、ガイドのガブリエルさんは先頭で小型のナタを持ち、切り開きながら進んで行きます。

また「その木には触わっちゃダメ!“パラポネラ”がいるよ」といった具合に、危険な場所には注意も促してくれます。ちなみにパラポネラとは、おしりに針をもつ毒アリです。

捕らえたエモノを麻痺させ、生かしたまま巣の中で長期保存するために、強力な神経毒も持っているのです。警告されたときには、あわてて飛びのきました。

ちなみに「蜂と蟻に刺されてみた」(著:ジャスティン・D・シュミット )という書籍で、著者は世界中の虫に”あえて”刺され、痛みのレベルをランク付けしています。

その中でパラポネラ(和名:サシハリアリ)は、最高レベルと評価されており「目がくらむほどの、強烈な痛み」と記述されていました。

もしガブリエルさんの注意がなければ、それを味わっていた可能性もあり、ガイドの知恵や経験に守られている事実を、あらためて肌身に感じました。

アマゾンのジャングル教室

アマゾンでは昼間はどこかしらの場所に出向きますが、日が暮れてまっ暗になれば、基本的にほとんどの活動は出来なくなってしまいます。

そのため夜は拠点の小屋で“レクチャー”と呼ばれる時間があり、アマゾンについてのさまざまな知識を教えて貰いました。

木造の教室は植物の葉で屋根が葺かれており、まさにジャングルの家といった風情でした。

部屋には動物の骨や現地民の民芸品、アマゾンの地図など様々な”教材”が置いてあり、それらはランプの灯りにボウッと浮かび上がり、なんともいえない迫力を醸しだしていました。

ジャングルの写真パネルも並び、ブルーに輝くチョウの乱舞、巨大なアナコンダ、木の上にたたずむジャガーなど、どれも見入ってしまうものばかりです。なかでも興味を惹かれたのが“インディオ”と呼ばれる原住民の姿でした。

みんな顔や身体にさまざまな入れ墨をほどこし、頭に羽飾りをたくさんつけています。草むらから上半身を出し弓を構える男たちや、植物の葉でカゴを編む女性たち。どれも原初の生活が垣間みえます。

ちなみに私たちの価値観では、ブラジルの国土に住んでいる彼らは、”ブラジル人”というカテゴリーになるかもしれません。

中には文明社会に溶けこんだ部族もあり、一概には言えないのですが、今も独自の文化で暮らす部族は言語も違います。そもそも国家の概念さえ持たない人々も、少なくありません。

ブラジルだけでも305の部族があると言われ、とても一括りにするのは不可能です。そうしたインディオ達の世界観は聞けば聞くほど、驚きの連続でした。

ベトナム人の投げかけがくれたもの

アマゾンでレクチャーを受けていた少し前、僕は東京で憂うつな日々を過ごしていました。

時間だけはたっぷりとあり、しかし誰かに会うのは「無職になっちゃったんだ」と言われるのが嫌という、妙なプライドがありました。

心境としては引きこもりに近いのですが、もともとの性格はアウトドア派なので、1日家で何もしないと、重苦しい気持ちに堪えきれません。

そこで自然と公共施設、とくに図書館が1番の居場所となっていました。共有スペースには各社の新聞が置かれ、何気なく読んでいたときに、ある1つの投稿欄が目に留まりました。

それは、おおよそ以下のような内容でした。

「私はベトナムの田舎出身の留学生です。幼いころからずっと、都会で暮らしたいと思っていました。中でもアジアですごい発展をした日本は、最高の憧れでした。その夢が叶い、いま私は東京に来ています。

でも最近、私はとても気になっていることがあります。日本人の皆さんは、いつも心身が疲れている方が多いように見えるのです。きのう電車に乗りました、ずっとうつむいている人や、眠っている人もいっぱいいました。

東京は本当に立派な都市です、でも私にはあまり、皆さんが幸せそうには見えないのです。いま私は故郷の良かったところに、あらためて気付きました。思えば、いつも笑い合って、元気な人がたくさんいました。

日本の皆さん、ぜひ1度ベトナムに来てください。不便かも知れませんが、雄大なメコン川やマングローブの森や、美しい自然もたくさんあります。本当の豊かさとは何か、きっと目にできると思います」

その投稿は心に刺さり、急にベトナムへの興味が湧いてきました。そして『旅行』の棚に行けば、ベトナム観光の本はたくさん並んでいました。

成田からホーチミンまでは約5~6時間。多くの国に比べて安く治安も良好。また短期ならばビザも不要と、ハードルが低いのも魅力的でした。

しかし、しばらくして「自分は観光がしたいのか?」という思いが湧いて来ました。ベトナム旅行を楽しんで帰って来ても、何も変わらないまま、同じ状況が続くような気がしたのです。

どこか簡単に手が届く日常の延長よりも、そうしたものを振り切った“別世界”レベルの場所を求めたい心境になりました。

いま思えばベトナムも本気で行き回れば、計り知れない体験が山ほどあったと感じますが、当時は決断しませんでした。

ただ投稿の内容には大いに触発され、何となく「まだ見ぬ遠くを目指したい」という思いを抱きつつ、過ごすようになっていました。

恐るべき通過儀礼

夜のレクチャーでは、日中に出会った毒アリに関する、とある風習について教えて貰いました。インディオの1部族“サテレ・マウェ族”は、大人になるための通過儀礼として、森でたくさんのパラポネラを捕まえてくるといいます。

そして植物で編んだ網に押し込み、大きな手袋の中に投入。儀式に臨む者はこれを両手にはめ、踊り続けなければならないと言うのです。

当然パラポネラたちは驚き、容赦なく手を刺します。1匹でも最高レベルと言われる針で、複数匹から刺され続ける激痛は、もはや想像もつきません。

しかし手袋を外すとやり直しとなり、しかもこの儀式は期間を空け、複数回やらなければならないと言います。

さながら拷問の様に思えてしまいますが、サテレ・マウェ族の中では、厳しい自然で生き抜くために必要とされています。やり切ると一人前の戦士、日本でいうところの“サムライ”と認められるそうです。

レクチャーの最後に、儀式を乗り越えたという青年の写真を見せられました。さんざん苦痛を味わい、さぞ歪んだ顔かと思いきや、ひと目みて驚愕しました。

清々しい笑顔を浮かべ、それはオリンピック選手が金メダルを取った直後のような、表情でした。遠くを見据えた目は凛々しく、それでいて無邪気さも混じったような顔つきで、とても演技では作れない表情に感じました。

「どうして、こんな心境になれるのだろう」。その写真は大きな不思議とともに、強く脳裏に焼きつけられました。

大人の世界はどんな場所か

夜のジャングルは月明かり以外なく、まっ暗闇でした。懐中電灯をつけるとサーチライトのように、光が真っすぐに伸びて行きます。

僕は自分の小屋へと続く木道を歩きながら、日本の成人式を思い浮かべました。みな着物や振り袖を着て祝福され、食べ物や飲み物が用意された宴会場もありました。そして集合写真ではピースをして、楽しい記念のイベントでした。

それとサテレ・マウェ族の成人式では、180度の差があります。「大人の世界へようこそ」と大切にされるどころか、「どうしても生きたいのなら、覚悟を証明しろ」と言わんばかりに、突き放されるのです。

もちろん日本の社会生活も甘くはありませんが、成人時の僕は「それなりの会社に入って、平均くらいの人生が送ればいいな」くらいのお花畑でした。

対してサテレ・マウェ族では「世界は厳しいぞ、それでも行くか?」と示され、生きる事への覚悟には、天地の差があります。

カメラに向けてピースの笑顔と、試練を越えた青年の笑みは、その部分で大きな違いがあるような気がしました。

「それじゃあ、あなたもパラポネラの儀式をやりますか?」言われれば、正直あわてて逃げ出しそうですが、人生に対する別次元の視点を与えられた一夜でした。

太古の記憶は繋がっている?

ちなみに世界の先住民を見渡すと、成人式に試練を与える部族は、他にも存在しています。アフリカのマサイ族の中にはライオンと、パプアニューギニアのある部族では、サメと闘う試練が課されるといい、まさに命がけです。

また日本でも、通過儀礼ではありませんが、諏訪大社で行われる“御柱祭(おんばしらさい)”では、巨大な柱にまたがり崖を下る場面があります。

毎回、死傷者に備え救急車が待機していると言われ、覚悟を持つ人でなければ、とうてい臨めない神事です。

そして以下は現時点での感覚ですが、僕は初めて福厳寺の“火渡り神事”を取材したとき、燃え上る炎の大きさに、人間では抗いようのない畏怖を感じました。

境内には消防車も待機し、それでもこの炎の神事を何百年も絶やさない事実に、大昔から受け継がれる“覚悟”を感じました。

またもう1つ驚いたのが、火渡りに参加したブルガリア出身の方が「故郷にも炎をとび越える、伝統行事があります」と話していたことです。地域はまったく違っても、どこかが繋がっているような気がしました。

御柱祭やあきば大祭は先住民の行事とは目的も違います。しかし身体1つで臨まなければならず、 覚悟が必要という点で通じるものを感じます。

厳しい自然や大変な世界を生きるため、先人が編み出した儀式。そこには本能的な原初の感覚が、共通して秘められているのかもしれません。

≫第5話はコチラ

※2024年の福厳寺あきば大祭は、12月7日(土)に開催されます。以下のリンクより詳細が確認できますので、よろしければ合わせて是非ご覧ください。

≫令和6年度あきば大祭

連載記事 アマゾンの侍
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この記事を書いた人

原田幸文(こうぶん)のアバター 原田幸文(こうぶん)

寺町新聞の執筆・取材を担当。Yahoo!ニュース歴史・文化ライターとしての顔も合わせ持つ。小学生の秘密基地から南米のアマゾン川まで、どこへでも探訪。そこにある興味や発見、人の想い。それらを分かりやすい表現で、書き綴るのがモットー。趣味は環境音や、世界中の音楽データを集めて聴くこと。鬼滅の刃とドラゴンボールZが大好き。

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