2023年3月にスタートした福厳寺オリジナル数珠プロジェクト。「自分たちが制作するとは考えてもみなかった」というメンバー3人の奮闘ぶりは、過去6回にわたる記事でお伝えしてきました。→全6回の過去記事は、こちらから。
そしていま、さまざまな紆余曲折を経て、ようやく完成したオリジナル数珠。いったいどんな仕上がりになったのでしょうか。あきば大祭でのお披露目を前に、メンバーの静江悠月さん、真香理芳さん、唐木貴子さんが、制作時の裏話などを交えながらご紹介します。
〈ここでお知らせ〉
私たちの想いが詰まった、佛心の輪が完成しました!
詳細はコチラのサイトをご覧ください。
https://nalandastore.net/products/busshinnowa
毎日着けても疲れない! 細部にこだわったオリジナル念珠
構想から半年をかけ完成したオリジナル念珠。念珠そのものが「佛心の輪」を象徴するものであり、さらに親珠(おやだま)と二天珠(にてんだま)が佛心誓願の三種(みたね)と寺町誓願の三果(さんか)を表しています。
■静江悠月
オリジナル数珠を制作する上で、必ず実現させたい項目がいくつかありました。その1つが、佛心宗のシンボルマーク「初転法輪」を、数珠の中心的な珠・親珠に刻印すること。福厳寺に自生するヒノキを使用することも外せない条件でした。
■真香理芳
ただ、ヒノキは柔らかい材質のため、小さいサイズの珠では刻印に適さないと知りあわてました。今回の数珠制作では見た目のデザインも大事にしていたので、珠のサイズを大きくすることは何としても避けたかったんです。
■唐木貴子
年齢、性別、季節、服装を問わず身につけていただける、シンプルでさりげなくおしゃれな数珠を作るには、珠が小さいことが大前提。制作店さんでさまざまなサンプルを試し、みんなでそう決めていましたからね。
■悠月 そんなとき、ふと福厳寺で長年保管しているケヤキが、材質が硬いことを思い出したんですよね。それを制作店さんにお伝えすると、「やってみましょう」と。私たちの想いにどこまでも寄り添ってくださる担当者さんには、ただただ感謝しかないですね。
■理芳 珠をつないでいるゴムも数種類ご提案いただき、そのなかで一番優しいフィット感のあるものを選ぶことができました。色も、珠と珠の間からチラリとおしゃれに見えるようなカラーをチョイス。こんな小さなこだわりにも気づいてもらえたらうれしいですね。
■貴子 天然石がほどよいアクセントになっているので、ブレスレット感覚でも身につけていただけそう。ただ、事前アンケートで「あまり重くならないようにして欲しい」とのご意見をいただいていたので、何度も試しながら重さを調整していきました。その甲斐あって完成した数珠は、毎日着けても疲れない、軽くてやさしい着け心地が実現できたと自負しています。
数珠の本式の珠は108個。108の煩悩を断ち切るという意味があります。略式の数珠では数に特に決まりはなく、108の約数である27個や18個の珠を用いたり、珠の大きさや使いやすさを考慮し作られていることが多いようです。
「念珠」の文字に込められたもの
今回の数珠制作では、寺町新聞編集長である知哲さんから、たくさんのサプライズをいただきました。その極めつけが、知哲さんが手がけられたパッケージデザインでした。
■貴子 パッケージにほどこされた「佛心宗の念珠」という言葉。これを目にしたとき、心が震えるような喜びと、身が引き締まるような責任感がもたげてきたのを覚えています。
■悠月 無我夢中で走っているときは意識する余裕がなかったのですが、改めて、私たちは「佛心宗の顔」となるものの制作に携わらせていただいたんだと、感謝とともに、ちょっと恐れ多いような気持ちになりました。
■理芳 制作するにあたり数珠について少し勉強したのですが、数珠と念珠は基本的には同じですが、少し意味合いが違うよう。念珠は、思い・願い・祈りを「念ずる」との意味を込めたものだという説があるそうです。知哲さんが数珠ではなく「念珠」という言葉を使われたのには、そういう意図もあったのでは、という気がしています。
■貴子 パッケージに添えられた奥書(おくがき/説明書のこと)にも感激します。佛心宗の誓願とともに、私たちの想いもしっかりと表現してくださっている。知哲さんの懐の深さに改めて感服しました。
■悠月 じつは最初このお話をいただいたとき、私たちのような素人にすべてをお任せになるなんて…と、少し当惑する気持ちもあったのですが…。この奥書を拝見して、知哲さんは未知数の私たちをどこまでも信頼してくださっていたのだとわかり、胸が熱くなりました。
■理芳 気がかりなのは、数珠を梱包しているとき、この奥書を3つ折りにして台紙の間にはさんでしまったこと。「奥書があることに気づかなかった」というお声を頂戴し、あわてて「説明書入り」とのシールを貼るなど対策を講じていますが…。この数珠を手にされた方は、ぜひ奥書をご覧になることを忘れないでいただきたいですね。
学びを糧に、それぞれの仏性を育む
長きにわたったプロジェクトがひと区切り。3人は今回の経験をもとに、寺町新聞スタッフとして、次なる挑戦に目を向けています。
■貴子 私は“暮らし”という分野が好きで、今後、暮らしと仏教を掛け合わせたような記事を書きたいと考えています。関心があるのは「小欲知足」という概念。私が日常で感じた1つひとつをピックアップし、「足るを知る」ことで実現する「本当の豊かさ」というテーマに向き合いたいです。
■理芳 和尚さまの『一問一答』にはずっと救われ続けてきました。今後はそれを自分なりに記事にする、寺町新聞の『私に刺さった一問一答』の執筆に取り組みたいと思っています。文章力はまだおぼつかないですが、月1本など目標を決めて。私の書いた記事が、和尚さまのお話がより多くの人に届けられる一助になればうれしいです。
■悠月 仏教にふれあう場づくりに貢献できればと思います。目の前にいる人はもちろん、直接出会えない人たちにも、水の波紋がパ~と広がるように喜びを波及させていく…。日常の中で仏教に触れられるような商品企画をする活動ができたらなと。
こうした気持ちになれたのも、今回の数珠制作での学びがあったから。この経験を活かし、私の仏性をさらに広げていきたいと思っています。
編集後記
福厳寺を慕う方々に、善友とのつながりを感じてもらいたい…。そんな願いからスタートした数珠制作。途中、経験した紆余曲折も、善友の絆を深める大切な宝物になりました。
「つねに先読みしながらメンバーを引っ張ってくれた、リーダー的存在の悠月さん」「数珠のいわれやイメージ素材などを迅速に調べ提供する、情報発信力に長けた理芳さん」「イメージを視覚化したり、いつもとびきりの笑顔で場を和ませてくれた貴子さん」。
まさに「仏性の合わせ技」で難局を乗り越えた3人。そんな舞台裏の様子もちょこっと想像していただくと、数珠を手にしたときの味わいがより豊かになりそうです。
メンバー3人を中心に、たくさんの人の想いが込められた「佛心宗の念珠」。あきば大祭に参られた際は、ぜひ「寺町新聞ブース」で手に取ってみてください。
杉井千美
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