寺町の風

アンパンマンと仏教〈寺町の風〉

こんにちは、寺町編集室の原田です。

最近まで、秋の陽気が広がっていました。

ぼくも先日、日帰りの軽登山に行ったのですが、朝あわてて出た時にうっかり。リュックに食べ物を入れ忘れた事実に、山頂へ着いてから気づいたのです。

彼方まで広がる美しい景色とは裏腹に、空腹で気持ちはブルー。しかし、どこかそんな様子を察した登山客の方が、手持ちのパンやクッキーを分けて下さいました。

ご好意に感謝があふれるとともに、色々な意味で染み入る美味しさが、忘れられません。

帰りの電車の中、ふと以前に読んだ、やなせたかし先生の自伝を思い出しました。ぼくのシチュエーションとは重みが違いますが、若かりし頃のやなせ先生は徴兵され、軍人として中国へ出征していました。

終戦となって帰国すると今までの善悪はひっくり返され、何が正義でどう生きれば良いのか?未来は、お先まっくら。

何より焼野原で、くず拾いの仕事をして食いつなぐ日々。毎日とにかくお腹がすいて、すいて。それが辛くて、仕方がなかったと言います。

こんな時に現れて欲しいヒーロー。それは超人的なパワーで、悪を打ち倒す存在じゃない。

たとえ平凡でも、特別にかっこ良くなくても。そっと自らの食べ物を、分け与えてくれるような人なんだ。

そんな想いが唯一無二の、アンパンマン誕生へ繋がったそうです。

自分の持てるものを、色々な人に分け隔てなく与える。

登山客の方もそうですが、その姿には思わず、仏教で言う慈悲心に通じるものを感じます。

もちろん、公式で言及されてはいませんが「アンパンマンは、お釈迦様の教えを実践している」と言われても、個人的にまったく違和感がありません。

“なにが君のしあわせ、なにをしてよろこぶ。わからないままおわる、そんなのはいやだ”

最近この主題歌が、やけに心に染みます。

原田ゆきひろ

ABOUT ME
原田ゆきひろ
寺町新聞の執筆・取材を担当。Yahoo!ニュース歴史・文化ライターとしての顔も合わせ持つ。小学生の秘密基地から南米のアマゾン川まで、どこへでも探訪。そこにある興味や発見、人の想い。それらを分かりやすい表現で、書き綴るのがモットー。趣味は環境音や、世界中の音楽データを集めて聴くこと。鬼滅の刃とドラゴンボールZが大好き。 ※写真は歴史衣装・体験中の筆者
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