寺町の風

きつねからの手紙 vol.2 〜映画「杜人(もりびと)」に学ぶ〜 〈寺町の風〉

こんにちは、寺町編集室の志保です。

昨秋私は、「福厳寺で出会ったきつねから『手紙』を受け取ったような気持ちになった」というお話しをしました。(寺町の風「きつねからの手紙」は、こちら)

「自然は確実に変わってきている。さて、あなたはどうする?」

そう問われたように感じ、自然に対する「ちょっとしたこと」から始めたいと思ったものの、私はどう動くべきか考えあぐねていました。

そんな中、ある映画会のお知らせを受けます。映画「杜人(もりびと)」です。

これは、環境再生医を名乗る矢野智徳(やのとものり)さんの3年間の格闘を追ったドキュメンタリー映画です。

なぜ自然災害が年々激しさを増しているのか?その原因は「大地の呼吸」にある、と矢野さんは言います。

映画の中では、矢野さんがどのような手法で環境再生に臨まれているのか、また「大地の呼吸」とは何なのか。素人の私でもよくわかるように丁寧に描かれていました。ぜひ多くの方にご視聴をおすすめしたい一本です。

さて、映画を見終えた私は、真っ先に自宅の梅の木を思い出しました。

家の土地に生息していた二本の梅の木を、新築工事のために移植したのが5年前。以前は豊富に採れていた梅の実が、近年は減る一方で、小さな虫が葉の裏にびっしりとつき、葉っぱがくるっと丸まり萎れていくのです。

映画を見た私は「まずは身近な自然から」と思い立ち、映画会に足を運んでいらした造園業を営むある方に、早速自宅の庭を見てもらうことにしたのです。その方は、映画の主人公である矢野さんを慕い、矢野さんとともに活動されている方です。

診断結果は、家の周りに貼られたコンクリートや防草シートなどにより、「空気と水」の循環が滞って、木が呼吸できずに苦しんでいるというものでした。

そしていくつかの対処の中でも印象深かったのが、「庭を森にする」というもの。

枯れ枝や落ち葉を庭にまいて、森のようなフカフカの土壌に戻していくといいます。早速家族そろって、枯れ枝や落ち葉をふんだんに庭にまきました。

思い起こせば、私ども家族は、春から夏にかけて必死に雑草を抜いては「さっぱりした」と喜んでいたのです。

見た目に綺麗なことも大切ですが、それは人間にとってよいことであり、木にとってみれば、貴重な栄養分を剥ぎ取られているようなもの。

雑草にも、そこに生息する虫にも存在する意義があり、役割があることを教えていただきました。

「では、生え放題となる雑草はどうしたらよいのか」という問いには、草は「抜く」のではなく、風の流れに沿って「刈る」のだとも教えてくださいました。

森のようにフカフカにした自宅の庭

森は本来、大地にとって良い循環を生むようにできている。
しかし人間は、自らの都合で自然の息を塞ごうとする。
一方で、人間もまた自然には欠かせない存在で、いかに自然と共に生きるかという「知恵」をもつことが大切である。

その後、お話は人間関係にまで及び、自然の一部である人間の構造も同じであると聞き、私はあの日、思いがけず人間をも学ばせていただける貴重なひと時を過ごさせていただきました。

今、梅の木は可憐な花を咲かせはじめています。梅雨前の実付きの頃、今度はどんな表情を見せてくれるのか楽しみです。

そして「ちょっとしたこと」をこれからも積み上げていきたい。今回の件を踏まえ、一層その思いを強くしました。

きつねからの手紙、まだまだ私を突き動かしてくれそうです。

ABOUT ME
志保
寺町新聞・副編集長。自身を「透明なうつわ」と捉え、向き合った人の「色」を鮮やかに描き出すことに心を燃やす。執筆・編集のほか、企画ディレクターとしても活躍。回遊魚のごとく、日々人探しと情報集めに奔走している。好きな食べ物は、しょうがの甘酢漬け。
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POSTED COMMENT

  1. さとし より:

    仏教の宗派(スリランカ)によっては雑草も全く抜かず、踏まず、落ち葉を拾うくらいしかしないと聞いて驚いた経験があります。

    座禅する時もいつも座禅する場所に雑草が生えてたら場所を移動するようです。

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