寺町ニュース

    雪が積もりました。

   2022・01・15

いつも静かな境内に、いつもと違う、異様なまでの静けさを感じました。

雪です。福厳寺に、この冬3度目の雪が降りました。

1度目、2度目は積もる前に溶けてしまいました。

しかし、日を追う毎に寒さを増す睦月半ば。3度目にして、福厳寺も白衣を纏いました。

いつもと違う朝の景色。

それでも変わらず、修行僧は朝の作務に取り組みます。

冷暖自知(れいだんじち)という教え

「冷暖自知」という禅語を学びました。水の冷たさを、火の暖かさを、いくら人から説明されても、聞いただけでは本当にその感覚を知ることはできない。自分で触れてみて初めて、その冷たさ、暖かさを体感できるという意味です。

人は、危険や失敗を、自分で体験することで、成長する事ができます。

 ボタン一つで暖かいお湯が湧いて、一枚着るだけでポカポカになる服がある今の世の中で、本当の意味での自然を体感できる機会は減ってしまっているのかもしれません。

自動ブレーキ、自動調理、あらゆるものが機械によって安心安全に行われることで、わたしたちは危険や失敗を避けることができます。しかし、日常のオートメーション化は、同時にわたしたちから大切な感覚を奪っていくようにも思えます。

凍えるほど寒い思いをしたあとは、たった一杯のコーヒーで幸せになれます。

それを知っているから、寒さに震えている人がいたら、迷わずにコーヒーを分けてあげられるのです。

福厳寺の冬の寒さ、冷たさを、肌で感じて、味わっていこうと思います。

「冷暖自知」という禅語は、便利さ、快適さを求めるあまり、人間が本来持っている能力や感性を鈍らせてしまっている現代人への警鐘です。脳だけに頼る「頭脳知」ではなく、五感と筋肉をしっかりと働かせることによって、「身体知」が育ちます。

 また、身体を使うことで、危ない、痛い、汚い、キツいなど、さまざまな体験ができ、そこから他人への思いやりや共感といった、慈悲心が育つのです。

大愚元勝「最後にあなたを救う禅語」扶桑社 2020/9/19 296ページより