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逆境のエンジェル(第16話) 差別意識の学習

2025 5/16
連載記事 逆境のエンジェル
2024年5月6日2025年5月16日

➤逆境のエンジェルとは

「逆境のエンジェル」とは、アメリカで生活する著者が、自らの人生をふり返り、いじめや身体障がい、音楽への情熱、音楽療法士としての歩み、異文化での生活、異文化間結婚、人種差別など、さまざまな体験・挑戦を通じて得た気づきと学び、成長をつづった物語です。

➤前回のあらすじ

 北カリフォルニアに引っ越し、新たな生活をスタートさせた筆者が、最初の移転先である刑務所勤務の様子と、そこで行ったセラピーについて語っています。(第15話『刑務所勤務の経験』はこちらからご覧ください)

目次

基本的なことは何も変わってない?!

 16年間の州立司法病院での勤務では、印象深いさまざまな患者や受刑者との関わりがありました。なかでも、グループセラピーを行った際の、受刑者からの言葉を忘れることができません。

 ある日、ライフスキルを考えるグループワークの際に、「自分の何を変えたら、同じ過ちを犯さなくてすむと思いますか?」と質問しました。

 そのとき、ある黒人の受刑者が、こう答えました。

「肌の色が違えば」と。

そして、その答に、他の数人の受刑者がうなずきました。

 予想もしていなかった答に私はショックを受け、思わず言葉をなくしました。これほどまでに肌の色で差別されているのかと、人種差別の根の深さに、ただ落胆するしかありませんでした。

 犯罪を犯した言い訳にはなりませんが、抑圧された人生を彼らは生きてきたのです。その現実を垣間見たようで、奴隷解放から160年以上経ったいま、いったいどれだけ世の中は変わったのだろうかと、自問自答せずにはいられませんでした。

 夫にその話をすると、「時代とともに差別や抑圧の形は変わっても、基本的なところはほとんど変わってない。刑務所というのは、現代の合法な奴隷制度なんだ」と教えてくれました。

この経験がきっかけとなり、人種差別の歴史とその問題に、私はいっそう目を向けるようになりました。

『奇妙な果実』が意味するもの

南部の木は、奇妙な実をつける 

葉には血を流し、根に血が滴る 

黒い体は南部の風に揺れる 

奇妙な果実がポプラの木々に垂れている

アベル・ミーロポール ”Strenge Fruit”

 『奇妙な果実(Strange Fruit)』という曲をご存じでしょうか? ビリー・ホリデーとニーナ・シモンといった著名なジャズシンガーによって歌われ、多くのアーティストからもカバーされている名曲です。

 この詩には、南部の木が「奇妙な果実」を実らせている様子がつづられています。この「奇妙な果実」とは…。実はこれ、リンチによって命を奪われ、木からぶら下がる黒人の遺体を指しているのです。

 『奇妙な果実』の詩は、ユダヤ系アメリカ人詩人のアベル・ミーロポールによって、1937年に書かれました。彼がこの詩を書くに至ったのは、1930年にリンチされた黒人、トーマス・シップとエイブラム・スミスが木に吊るされた写真にショックを受けたことにあり、リンチの悲劇を木の果物にたとえる暗喩で表現しています。

 アベル・ミーロポールは、アメリカ南部で日常的に行われている残虐行為に対し、社会が無視または容認していることについて、詩を通じて激しく非難しています。さらに、アメリカの人種差別が人間に与える影響についても、厳しく言及しています(この曲をご存知でない方は、ぜひYou Tubeなどで検索して聴いてみてください)。

差別は「無意識な学習」から生まれる

 黒人リンチの歴史を通じて、差別や無意識の偏見について考えてみたいと思います。

 わが家には黒人リンチの写真集があり、結婚初期にはなぜこれが必要か理解できず、議論の原因になったこともあります。しかし、いまではその歴史の深さと、世代を越えた心理的影響を理解する上で、重要な手がかりになると感じています。

 リンチは、法によらない殺人行為ですが、ある意味、合法でもありました。要するに黒人に何をしても罰せられない法律があったということです。

 当時リンチは、いわば一種の公開イベントとなっており、処刑された黒人を背景に、ピクニックをしたり、アイスクリームを食べて楽しげに過ごす白人家族の様子が、写真に残されています。

 さらには、被害者の皮膚や性器が切り取られ、記念品として配られたり、皮膚を乾燥してバッグや財布が作られることもありました。公式には約4,750人がリンチされたといわれますが、実際の数はもっと多いと推察します。

 リンチの写真はポストカードとしても販売されました。夫は小さいころ、空軍パイロットだった父親の仕事の関係で、台湾にいたことがあります。そしてその際、一緒に駐屯していた白人の子どもたちから、そうしたポストカードを何枚も見せられたといいます。

 公開処刑や遺体の写真を見た白人の子どもたちに、黒人に対する差別認識が植え付けられていたことは、こうしたエピソードからも伺えます。この偏見は世代を超えて続いており、表面的には差別を否定していても、次世代に受け継がれやすい仕組みは、すでにできあがっているのです。

 驚くべきことに、現在でも、この歴史を教えることを義務づけていない州があり、奴隷制が国の発展のために有益だったと伝えることを、合法化した州もあります。

 もちろん、すべての白人がこのサイクルに従うわけではなく、個々の環境などによって状況が変化しつつあることは確かです。しかしこれを推進させるためには、歴史教育が必要不可欠であり、意識的な学びがあってこそ、なし得ることが可能だと感じています。

 次回は、刑務所の環境とその構造について詳しく解説しています。

第17話はこちら

バックナンバーはこちら

Angel’s column 【知ってほしい! アメリカの社会的背景 その⑦】

 黒人リンチは、19世紀末から20世紀半ばにかけて、アメリカ南部を中心に行われた私的な殺人行為で、アフリカ系アメリカ人がおもな犠牲者でした。この行為は、人種差別と黒人に対する支配を維持する意図に基づいており、多くの無実の黒人が攻撃され、殺害されました。処刑理由も、たとえば、黒人男性が白人女性と目を合わせたとか、黒人の女性が白人の子どもを叱ったなど、取るに足らないことが大半でした。そして、それに対する司法下の保護はなく、むしろ法律で合法とされていたのです。

 リンチの背景には、奴隷制廃止後の白人至上主義、南北戦争後の混乱、ジム・クロウ法(※)による人種隔離などがあり、これらは白人による黒人への広範な差別と暴力を正当化しました。公衆の面前で行われたリンチは、地域社会に恐怖を植え付け、人種階層を強化しました。

 20世紀にはリンチへの抗議活動が増加しましたが、長期にわたり有効な法律対策は講じられませんでした。リンチの歴史は、アメリカの人種差別と暴力の歴史の一部であり、その影響はいまも続いています。

※ 1876年から1964年まで存在した黒人分離の州法

(感想、メッセージは下のコメント欄から。みなさまからの書き込みが、作者エンジェル恵津子さんのエネルギーとなります。よろしくお願いします。by寺町新聞編集室)

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この記事を書いた人

エンジェル 恵津子のアバター エンジェル 恵津子

東京都出身。音大卒業後イギリスに渡り、現在はアメリカのカリフォルニア州立病院で音楽療法士として勤務。和太鼓を用いたセラピーは職員、患者共に好評。厳しい環境下で自分に何ができるのか模索しながら、慈悲深く知恵のある人を目指して邁進中。
歌、折り紙、スヌーピーとスイーツが大好き。

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