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アメリカにおける教育格差|逆境のエンジェル(第27話)

2025 5/16
連載記事 逆境のエンジェル
2024年7月29日2025年5月16日

➤逆境のエンジェルとは

「逆境のエンジェル」とは、アメリカで生活する著者が、自らの人生をふり返り、いじめや身体障がい、音楽への情熱、音楽療法士としての歩み、異文化での生活、異文化間結婚、人種差別など、さまざまな体験・挑戦を通じて得た気づきと学び、成長をつづった物語です。

➤前回のあらすじ

 アメリカにおける産後死亡率の高さや、妊産婦が命を落とす根深い理由について述べています。(第26話『アメリカでの妊娠と出産に関する問題』はこちらからご覧ください)

目次

アメリカの教育は本当に優れているの?

 今回から数回にわたり、アメリカにおける教育格差の問題や、精神病院勤務のなかで見られる子どもと10代の若者の傾向について、お話したいと思います。

 親となり、さまざまな試行錯誤を経て子育てをするなかで、直面する重要な課題のひとつに、教育があるのではないでしょうか。

 自分の子どもによりよい教育を受けさせたい。そして、その教育で培った知識を、将来に役立ててもらいたい…。

 多くの親がそのように考えるのではないかと思います。私の親もそのような思いを抱き、教育に力を注いでくれたことを思い返します。

 そうした教育を受けられる国がアメリカであり、この国の教育カリキュラムは優れている…。そんな認識を持っている方は、もしかしたら多いかもしれません。

 確かに、最先端の研究で知られるハーバード大学やスタンフォード大学など、世界的に有名な大学が数多く存在する、アメリカは優秀な人材を輩出する国です。

 しかし、実際には4年生大学への進学率は4割ほどと、日本の約6割に比べ極めて低く、卒業率も日本が9割を超しているのに対し、アメリカでは6割程度。読み書きができない人も思いのほか多いのですが、この現実、あまり知られていないことかもしれません。

実は、成人の21%が読み書きできない!?

 アメリカでは、成人の約21%が読み書きできない…。そう聞かれると、驚かれるかもしれません。しかしこれは事実であり、その数は約4300万人にも相当するのです。実際、私の病院に送られてくる患者のなかにも、一定数、読み書きができない者がいます。

 さらに、読み書きができるといっても、成人の54%は小学6年生以下の識字能力しか持っておらず、そのうちの20%は5年生以下のレベルです。

 このため、多くの大衆紙や書籍は、5年生程度の識字能力があれば読めるよう構成されています。実際、私もイギリスからアメリカに来たとき、アメリカの新聞記事が読みやすく理解しやすいと感じました。

 識字率は州によって大きく異なります。特にカリフォルニア、ニューヨーク、フロリダ、テキサスなどは、低い傾向にあります。私の住むカリフォルニア州は、スタンフォード大学やシリコンバレーで世界的に有名ですが、成人の23.1%が基本的な読み書きスキルを欠いており、識字率が最も低い州のひとつです。

 これらの数字は、教育の質、社会経済的要因、英語を母語としない移民の割合など、さまざまな要因によって影響を受けています。低い識字率は経済にも大きな影響を与え、アメリカでは年間2.2兆ドル(およそ300兆円)以上の損失が発生していると推定されています。

 私が日々関わる州立病院の患者のほとんどは、貧困層の出身です。彼らの教育的背景は、高校を卒業していない者、学校時代に成績不振だった者が多く、複数の補導歴や逮捕歴を持つ者も少なくありません。統計によれば、このような状況にある人々の70%が、読み書きにおいて小学4年生以下だとされています。

 識字率や読解力は、物事を分析する能力や判断力に直結します。しかし、学校時代に適切なサポートを家族、学校、地域から受けられないことで、八方ふさがりの状況に陥ってしまい、不良仲間に誘われたり、薬物に手を出すようになって…。それが精神を病む原因に少なからずなっています。

 この傾向は、特に貧困層の集まる地域に顕著で、コロナパンデミックにより、さらに格差が広がったといわれます。オンライン授業への切り替えにより、Wi-Fi環境がない貧困層は授業を受けられない状況になってしまったほか、学習障害を持つ児童や若者にとっても、オンライン学習自体が困難だったことが判明しています。

人種間で教育に差が生まれる理由とは

 ここで、人種間の教育格差について考えてみたいと思います。

 2020年11月12日発行の『世界経済フォーラム』の記事には、「アメリカの人種間の教育格差は若干縮まってきているものの、白人と黒人・ヒスパニック系との間には、依然として大きな格差が存在し、その改善のペースは遅く、不安定で、多くの地域で大きな教育格差がみられる」という、スタンフォード大学の調査結果が記されていました。

 つまり黒人やヒスパニックの学力は、白人より2年から3年ほど遅れているというのです。

 では、なぜこのような格差が生じるのでしょうか。この問題については、第12話で言及した住宅分離「レッドライニング」の問題が深く関わっています。

 地域によって教育水準が大きく異なる理由のひとつには、公立学校の運営資金が、その地域の固定資産税でまかなわれていることが挙げられます。富裕層の住む地域には白人が多く、その地域では、幼児教育から始まる教育全般の資源が豊富です。そもそも親の教育水準が高い傾向にあります。

 一方、黒人やヒスパニック系など、マイノリティーが多い貧困層の地域には、教育資源が十分ではありません。教師の給料も裕福層の住む地域に比べて低いため、優秀な人材が集まりにくく、なかなか教育格差を埋めることができない現状があります。

コンペティションで目の当たりにした現実

 2年ほど前、夫の勤める学校が、シリコンバレーにある科学博物館で開催された、テク・コンペティションに参加しました。夫が指揮を取り、選ばれた児童が、他の地域の児童と科学の知識を駆使して、風速に関するプロジェクトを作り上げるものでした。

 このコンペティションに興味を持った私は、事前準備のために赴く夫に付き添い、下見させてもらうことにしました。が、そこで目にした光景は驚くものでした。

 リハーサルにはすでに、児童に加え、父兄など多くの大人が臨んでおり、そのほとんどが白人とインド系、中東系で、黒人は夫ひとりだけでした。

 そのコンペティションは、子どもの将来の有力な足がかりになると考えられていたため、親たちは非常に熱心でした(多くの子どもは、毎週のように博物館に行って練習していたといいます)。

 それに比べ、夫の勤める学校の生徒には、事前リハーサルの機会が与えられることなく、圧倒的なハンデがあると感じました。なにせ、リハーサルに行くためのマイクロバスの資金も出ないのですから。

 それでも子どもたちは、当日、父兄のサポートを受け、有意義な時間を過ごせたようで、それを聞き、なんだか胸が詰まる思いがしました。

 このような例ひとつ取っても、貧困層の住む地域では、教育資源の乏しさにより、十分な教育を受けられないことがわかります。

 そもそも貧困層の地域では、両親が共働きで、子どもに最低限の教育しか施せないという経済的・時間的な制約があります。さらに、治安が悪いとされる地域は、給料が裕福層の住む地域に比べて低いため、優秀な人材が集まりにくいようです。

 スタンフォード大学の研究では、黒人と白人における教育格差を、同様の不祥事に対して白人より黒人の方が厳しく罰せられるという事実とも関連づけています。たとえば、黒人の方が白人よりも、停学処分を受けることが多いという点です。

 そして、この停学処分は、その後の子どもたちにおいて、断ち切りがたい負のスパイラルを生むことになってしまうのです。

 次回は、黒人をはじめとするマイノリティーの子どもたちが、犯罪へと手を染めてしまう構造的な理由について、物語を進めていきます。

第28話はこちら

記事の一覧はこちら

Angel’s column 【知ってほしい! アメリカの社会的背景 その⑮】

 アメリカでは「K-12」という教育システムが採用されています。これは、キンダーガルテン(未就学クラス)から高校卒業までの義務教育期間のことで、日本の幼稚園年長から高校3年生までに該当。この期間、ほとんどの州で無償教育が提供されますが、年齢はあくまでも目安。中高の入学年齢制限はなく、飛び級制度もある代わり、留年もあります。

 またアメリカには、公立学校以外に「私立」「チャータースクール」「ホームスクーリング」など、さまざまな教育環境の選択肢があります。このうちチャータースクールは、公立学校の一種でありながら、より柔軟な教育カリキュラムや運営方法を持つことが特徴。経済的な理由で私立学校が選べない家庭が、よりよい教育を求めて選ぶこともあります。一方、ホームスクーリングは、学校に通わず、自宅を拠点に個別教育を受ける学習スタイル。昨今は学校教育に対する疑念から、経済的・時間的余裕のある家庭が、ホームスクーリングを選ぶ傾向にあります。

 こうして一見、柔軟性に富んでみえるアメリカの教育ですが、ひとつ大きな問題を抱えています。それは、州や地方自治体によってカリキュラムや教育政策が異なるため、教育の質に大きな差が生じていることです。裕福な地域の学校は潤沢な資金と教育資源を持っていますが、貧困地域の学校はそれらの欠如に悩まされており、能力のある児童がその力を十分発揮できないことがあるのに対し、それほど学力がない児童でも、大金を払えばよい学校に入学できるという現実があります。

(感想、メッセージは下のコメント欄から。みなさまからの書き込みが、作者エンジェル恵津子さんのエネルギーとなります。よろしくお願いします。by寺町新聞編集室)

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この記事を書いた人

エンジェル 恵津子のアバター エンジェル 恵津子

東京都出身。音大卒業後イギリスに渡り、現在はアメリカのカリフォルニア州立病院で音楽療法士として勤務。和太鼓を用いたセラピーは職員、患者共に好評。厳しい環境下で自分に何ができるのか模索しながら、慈悲深く知恵のある人を目指して邁進中。
歌、折り紙、スヌーピーとスイーツが大好き。

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