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自由と独立を記念するジューンティーンス(第53話)

2025 7/14
連載記事 逆境のエンジェル
2025年7月14日

➤逆境のエンジェルとは

 アメリカで暮らす筆者が、いじめ、身体障がい、音楽への情熱、異文化での生活、人種差別、仏教との出会いを通じて成長していく物語。個人的な体験を超え、社会の不平等や共生の課題にも鋭く斬り込み、逆境のなかで希望を見出す力を描きます。

➤前回のあらすじ

 ノースベイ地区にある、ヴァレーホという町の歴史と、見どころ、そこでの生活模様を紹介しています。(第52話『名もなき旧都 〜 ヴァレーホという町から見えてくるもの』はこちらからご覧ください)

目次

「苦しみの歴史に光を灯す」ジューンティーンスとは?

 毎年6月19日は、アフリカ系アメリカ人にとって「もうひとつの独立記念日」ともいえる特別な日です。

 1865年6月19日、テキサス州において奴隷制度の終焉を宣言。これを記念し、以後、この日を「ジューンティーンス(Juneteenth)」と呼び、長年にわたって自由と解放が祝われてきました。

 実はその2年半前の1862年、リンカーン大統領はすでに奴隷解放を宣言していました。しかし、奴隷解放は南部ではすぐに広まりませんでした。

 なぜなら、このとき南部はまだ南北戦争の真っ只中にあり、南部の奴隷主はこの情報を隠していたのです。

 そのため、実際に奴隷が自由になるには、北軍(連邦軍)が現地に行って直接伝える必要がありました。テキサス州のような遠い場所では、戦争が終わったことさえも知らない人が多く、南部では一番遅くまで奴隷制度が続きました。

 そのテキサス州で、北軍がやっと到着して奴隷解放を伝えたのが、1865年6月19日だったのです。

 そして、この日を記念したのが、ジューンティーンス。ようやくすべての奴隷に自由が届いた、「本当の解放の日」がこの日でした。

 記念日の名前に日付が用いられるのは、いささかユニークに思えます。しかし、アフリカ系アメリカ人にとってこの日付にこそ意味があるのです。そこには、他の祝日とは一線を画す、特別な思いが伝わってきます。

 ジューンティーンスを最初に祝日に認定したのはテキサス州で、その後、1940年代から1970年代にかけて、アフリカ系アメリカ人の南部から北部への移住・移動により、この祝日は各地に広がっていきました。

 そして2021年、アメリカ連邦政府によって正式に祝日と定められ、ようやく広く知られる存在となりました。

 これは、2021年6月17日、バイデン大統領が「ジューンティーンス国定独立記念日法案」に署名したことによるものです。以来、ジューンティーンスはアメリカでもっとも新しい連邦の祝日となりました。

 しかし、ジューンティーンスとは何か、どのように祝うのかと尋ねられ、すぐに答えられる人はそれほど多くはないようです。

 長い間、​​​​​​南部の黒人の間でひっそりと祝われてきたことを考えると、それは致し方ないことかもしれません。 

 しかしこの日は、歴史的にも人道的にも、大きな意味を持っています。そこで今回は、アメリカ人でもまだまだ認知度の低いジューンティーンスについて紹介したいと思います。

■ 佛心会会員季刊誌『慈光』に連載中の『カルチャーブリッジ』でも、アメリカの建国記念日である7月4日と対比させながら、それぞれの意味や祝い方について紹介しています。ぜひそちらもご覧ください。

旗と「赤」が語る、いのちの尊さと希望

 ジューンティーンスには、いくつかの象徴があります。たとえば「ジューンティーンスの旗」。

 赤・白・青の色で構成されたこの旗は(画像参照)、アフリカ系アメリカ人もアメリカ人であること、そして自由と希望を讃えるとの意味が込められています。

 中央には星がはじけるようなデザイン、そして、左右を貫く地平線のライン。これは奴隷制度の終焉を経て迎えた、新しい出発と未来への展望を象徴しています。

 なかでも特に印象的なのが「赤色」。この色には、奴隷時代の苦難を乗り越えてきた祖先の強さ、流された血への追悼、そして回復力への敬意が込められています。

 また赤色は、​​西アフリカの伝統文化や民族衣装において、重要な色とされています。アフリカのルーツを象徴する色、それが「赤」なのです。

 それゆえ、ジューンティーンスでは、赤い服を着たり、スイカやストロベリーソーダ、赤いベルベットケーキなどの「赤い食べ物」を囲んだりする習慣があります。

歴史を刻む小さな一歩

 今年は私が勤務する州立の精神科病院でも、ジューンティーンスのイベントを初めて開催しました。

 中心となったのは、ふたりのアフリカ系アメリカ人の音楽療法士。

 これまで何度も企画が持ち上がりながら、実現できなかったこのイベント。先祖から受け継がれてきた想いが、ようやく形になったのです。

 それはまさに「歴史的な一歩」だといっても過言ではありません。

心をつなぐ場所〜ブロック・パーティの意味

 今回のイベントのテーマは「ブロック・パーティ(Block Party)」。

 この言葉を耳にしたことがある方はいらっしゃるでしょうか。実はこれ、私にとって初めて聞く言葉でした。

 ブロック・パーティとは、住民同士が食事を囲んだり、音楽を奏でたり、ダンスを楽しんだりする、屋外の交流イベントのことです。

 ただし、アフリカ系アメリカ人コミュニティにとってブロック・パーティは、単なる娯楽の催しではありません。差別や暴力のなかで果敢に生き抜いてきた人々が、連帯し、喜びと希望を分かち合う場でもあるのです。

 日々の暮らしでは奪われてきた、安心して過ごせる時間。アフリカ系アメリカ人の特徴ともいえるユーモアが飛び交う場所。

 つかの間ながら、そこはきっと、人としての喜びを取り戻せる貴重な拠り所だったことでしょう。

 またそこは、多くの文化を育む場でもありました。ソウルフードやゴスペル、ヒップホップ、ダンスなど、多くの表現が、ブロック・パーティを通じ、次々と開花していきました。

 実際、1970年代のニューヨーク・ブロンクス地区では、こうしたブロック・パーティがヒップホップ文化の誕生に深く関わったといわれています。

 この点については、次回じっくり触れたいと思います。

 さて、私たちの職場で開催されたブロック・パーティにも、主催者の「この雰囲気を皆で感じてほしい!」という熱い想いが込められていました。

 会場では、赤いカップに入ったベルベットケーキ、くるみのようなナッツのピーカンバターでつくられたアイスクリーム、そしてフルーツポンチがふるまわれました。

手づくりのぬくもりに包まれて

 アクティビティも多彩でした。ヒップホップやソウルミュージックに合わせたラインダンス、紙でつくるカゴのクラフト、カードゲーム、シャボン玉を割って遊ぶ穏やかなゲームなど、誰もが楽しめる工夫がされていました。

 スタッフも患者も、世代や背景を越えて心を寄せ合い、にこやかな笑顔が広がっていたのが印象的でした。

 私もそのあたたかな空気に包まれながら、紙のバスケットづくりを手伝ったり、患者がつくるシャボン玉を突っついて割ったり、ラインダンスに参加したりと、一緒に場を盛り上げました。

 イベント後、私は主催した同僚のひとりに「とってもリラックスできて、楽しくて、気持ちいいイベントだったよ」と伝えました。すると彼女は、満面の笑みをたたえながらこう答えました。

 「それがブロック・パーティなの。その雰囲気を再現したかったの!」

 そんなブロック・パーティを経験して、学んだことがあります。

 それは、どんな苦しみのなかにあっても、笑いやユーモアを忘れず、横のつながりを大切にする。それによって、誰もが安心できる空間がつくれるということです。

 そして、そうした文化を育んできた歴史は、決して消えることなく人々の心に深く根づいて、誰かの心をあたため続ける。それが、理解と共感の輪へと広がっていくのだと感じました。

 人種の違いを越えて、ともに学び、祝い、癒される、ジューンティーンスの一日。そこにはそんな希望が確かにありました。

少しずつ、でも確かに広がる「共感」と「支持」

  現在のアメリカは、人種の上でも大きな分断が起きているといわれ、いままで祖先が築いてきたものが崩れ去るような不安や恐怖を覚える有色人種が少なくありません。

 しかし、イベント後に取ったスタッフと患者へのアンケートでは…

 「黒人文化は大切な歴史だから、もっとこのようなイベントを開催してほしい」「よくやった!」「もっと、文化的なイベントを増やしてほしい」「いまだから、とても大切で、忘れてはいけない歴史だ」

 など、多くの支持が得られました。

 ちなみに、私の所属しているリハビリテーション課の職員は、7割強が白人で占められています。音楽療法士に限ると、9割近くが白人です。

 しかし、このような環境で仕事をすることを選んだ人たちの集まりだからでしょうか。彼らからは「知ろうする姿勢」「平等であろうとする意識」が強く感じられます。

仏教的まなざしと響き合うもの

 そして私はいま、あのブロック・パーティの光景や、アフリカ系アメリカ人の持つ精神的な強さ、ユーモア、明るさが、仏教の教えである「慈悲」と重なると感じています。

 他者の痛みに目を向け、ともに苦しみを感じ、寄り添い、癒し合う…。それはまさに、ジューンティーンスの精神と深く通じ合っているように思うのです。

 歴史を忘れず、声を上げ、笑顔を分かち合いながら生きる姿には、深い感動と敬意の念を覚えます。

 人種や文化の違いを越えて、私たちは「いま、ここ」で出会い、学び合うことができます。

 ジューンティーンスという記念日を通して、私たちはほんの少し、本当の強さとは何かを学んだのかもしれません。

 次回は、ヒップホップ音楽の歴史と、ヒップホップ音楽の歌詞を使ったグループセッションから、人生を考えてみたいと思います。(更新は8月4日夜7時)

記事の一覧はこちら

Angel’s column 【知ってほしい! アメリカの社会的背景 その㉑】

 ソウルフードの​​起源は、アメリカの奴隷制度時代と深く結びついています。当時、黒人奴隷たちには、家畜の内臓や骨、野菜の切れ端など、白人の家庭で捨てられた“残り物”しか与えられませんでした。けれども彼らは、そのわずかな食材を使い、持ち前の調理技術と故郷アフリカの知恵を活かして、命をつなぐ料理を生み出していったのです。

 苦しみのなかで工夫を重ね、家族や仲間とあたたかさを分け合う…。そうした食の文化は、やがて「ソウルフード」と呼ばれるようになりました。 

 ちなみに、この「ソウル(soul)」は、1960年代、公民権運動とともに黒人の誇りや精神性を象徴する言葉として広まり、音楽やファッションと同じく、料理にもこの名称が定着しました。日本では「おふくろの味」や「郷土料理」のように理解されることもある言葉ですが、その背景には、人間としての尊厳を取り戻すための闘いの歴史があるのです。

(感想、メッセージは下のコメント欄から。みなさまからの書き込みが、作者エンジェル恵津子さんのエネルギーとなります。よろしくお願いします。by寺町新聞編集室)

連載記事 逆境のエンジェル
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この記事を書いた人

エンジェル 恵津子のアバター エンジェル 恵津子

東京都出身。音大卒業後イギリスに渡り、現在はアメリカのカリフォルニア州立病院で音楽療法士として勤務。和太鼓を用いたセラピーは職員、患者共に好評。厳しい環境下で自分に何ができるのか模索しながら、慈悲深く知恵のある人を目指して邁進中。
歌、折り紙、スヌーピーとスイーツが大好き。

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