「仏教は知識ではなく、実践です」
Youtubeを通して、各地から届くお悩み相談に“処方箋”を授け、ブッダの教えを実践する大切さを伝えている大愚和尚。
たとえ頭で理解できても実践するとなると難しい仏教を、「体感」することで学べる場所、それが大愚道場です。
今回は2023年8月26日に東京都千代田区、内幸町ホールにて開催された大愚道場の様子を、参加者の声とともにご紹介します。
大愚道場で磨かれるもの
大愚和尚は、仏教とは「下手をやめ、巧みに生き、心を清らかに保つための教え」だと説きます。しかし、私たちは自分が下手であることに気づかないまま、悩みや苦しみを抱えて生きています。
Youtubeチャンネル『大愚和尚の一問一答』やオンライン仏教講座『佛心僧学院』が、仏教の「理解編」だとすれば、大愚道場はもう一段階深く学ぶ「実践編」といってもよいかもしれません。
大愚道場とは、ブッダの教えを頭だけで理解しようとするのではなく、体全体で感じて、感覚をつかむ実践の場所。この経験を繰り返すことで、“巧みに生きる力”に磨きがかかり、苦しみは、やがて”強さ”へと変わるのです。
「体感で学ぶ仏教」とは?
「これも、仏教の学び…?」
仏教を、机上で学ぶ「知識」として捉えている人にとっては、理解しづらい光景かもしれません。大愚和尚は、軽やかに、そしてユーモアたっぷりに、体を使ってワークを進めていきます。参加者との掛け合いも楽しく、会場は歓声、拍手、笑い声で満たされます。
「ここで繰り返し体感したことを、生活のなかで実践してください」
『体』を語る姿はまるでスポーツトレーナー。『心』を語る姿は僧侶。そんな大愚和尚に導かれながら、参加者は、稽古で得た感覚を体に染み込ませ、その感覚を持って日々を送るよう教えられます。
知識で塗り固められた思考が、次第にほぐされ、体に染み込んでいく。これこそが、大愚道場の醍醐味かもしれません。
学びの場の「善友」の声
大愚道場は、仏教を学ぶ場であり、お互いを高め合える真の友「善友」に出会える場でもあります。
今回は、サポートメンバーと一般の参加者6名の善友にインタビュー。さまざまな背景を持ちながらも、志を一にする皆さんの声をお聞きください。
サポートメンバー:諦空英俊(たいくうえいしゅん)さん
今回初めてサポートメンバーとして参加の英俊さんは、芯のある声と、丁寧な立ち居振る舞いで、整列を促します。
第1回目の大愚道場に参加して以来、ずっとサポートする側に立つことを望んでいたというだけあって、一つひとつの動作と言葉に深い想いが感じられました。
英俊さんは、学びを普段の生活に繋げるように意識しているといいます。「うまくいかなくて、反省してばかりですが……」と苦笑しながらも、以前に比べ、感情を冷静に見つめられるようになったと自己分析。
「佛心宗の教えは、揺れ動く自分をまっすぐ立たせてくれる、柱のような存在です。本当に感謝しています。」その謙虚さが美しく、また頼もしい英俊さんでした。
サポートメンバー:桃花緑泉(とうかりょくせん)さん
2023年3月に戒名を授かったことで、人に与える側になりたいと思った緑泉さん。
「布施・慈悲・サンガを実行しようと思い、初めてサポートメンバーに志願しました。」
真っ直ぐな目でそう語る緑泉さんは、当初人間関係で悩んでいましたが、学んだことを少しずつ実践するうちに、自然に良い変化が起きるようになったといいます。
そして、今の自分を「ポジティブループに入った感覚です」と表現する緑泉さん。この日、支える側としての新たな挑戦が始まりました。
サポートメンバー:春月慈照(しゅんげつじしょう)さん
お子さんが不登校になり、「まるで迷路に入りこんだようだった」という心境の中、「大愚和尚の一問一答」と出会った慈照さん。自分にできることはなんでもすると決意し、その後佛心僧学院でも学びました。
「閉じこもっていた自分の殻を、一枚一枚剥がしていくような経験でした。」
そして、問題が解決し生活が落ち着いた今でも、慈照さんは、大愚和尚の言葉に日々支えられていると語ります。
迷路のような暗闇の中で、自分自身に向き合った経験のある慈照さんの言葉はとてもたくましく、これからは多くの方に光を当ててくださるに違いありません。
サポートメンバー:傳法 海覚(でんぽう かいがく)
「自分のためだけに生きるのではなく、他の人と繋がって、一緒に幸せになる生き方がしたい」
佛心僧学院第3期を受講し、海覚さんは「生命の繋がり」を考えるようになったと語ります。
そして、今回サポートメンバーに手を挙げたのは、「人の役に立つべく、仏教の教えを実践し、大愚和尚の知恵や気づきを人に届けたい」と思ったから。今は、どうすれば慈悲の心を育てられるか、試行錯誤する毎日だといいます。
サポートメンバーとして、一人ひとりの参加者さんに丁寧に声をかける姿に、深い思いやりを持つお人柄が表れていました。
参加者:鳥居さん
鳥居さんは、希薄な人間関係に悩み気分が沈んでいた時、大愚和尚の一問一答に出会いました。
「与える側になることが大切だ」という大愚和尚の言葉が響き、周りに期待して求めてばかりいた自分の存在に気づかされたといいます。
考えを改め、周りの人への貢献を始めたところ、後々自分にも有難いことが起こるようになり、周囲との関係にも光が差し始めました。今は幅広い世代の方々と交流し、豊かな人間関係を築けていると喜ぶ鳥居さん。
「大愚和尚の言葉には何度も救われましたし、寺町構想にも共感しています。何かの形で佛心宗に貢献したいです。」と熱意を持って語ってくださいました。
参加者:小倉さん
2年程前から「大愚和尚の一問一答」を見ていたものの、やはり画面越しでは得られないことがあると思い、今回初めて大愚道場に参加したといいます。
「大愚和尚の言葉には、『知恵をつけるヒント』がたくさん散りばめられていて、日常生活にどう生かせばいいかを考えさせられます。『こんな時、和尚さんならどう乗り越えていくのだろう』と思わせられる、心のメンターのような存在です。」
たとえこれから大変なことがあっても、大愚和尚のように「軽やかな心で、ポーンと飛び越えていけるようになりたい」と明るく語ってくれました。
それぞれの修行の場へ
道場を出ると、いよいよ実践の日々がはじまります。この日得た感覚と気づきとともに、会場をあとにする参加者のみなさん。これからどう花開くのでしょうか。
会場の出口でお見送りをするサポートメンバーに対し、深々と頭を下げ合掌するみなさんの後ろ姿からは、穏やかで熱いエネルギーが感じられました。
編集後記
今回の大愚道場を取材して印象的だったのは、参加する皆さんが、日々の実践を通して強くなっている姿です。
数年前と今を比べると、大きな変化が起きて、結果が目に見える形で表れているという方も少なくないのです。
さらに、良い変化を自分だけに留めず、他の人の役に立ちたいと行動している人が増えてきていることも、大きな希望です。
仏性の種が、学び続ける人のなかで着実に育ち、芽吹きはじめていることに気づかされた回となりました。大愚道場は、参加する一人ひとりの力によって、これからさらに深く、濃い学びの場となると確信しています。
取材:柴崎彩夏
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