大愚和尚

vol.2「大愚和尚はYouTubeをどのように活用されていますか?」今こそ聴きたい!大愚和尚の一問一答

チャンネル登録者数50万人突破記念シリーズ第二弾。

大愚和尚へ直撃インタビュー「大愚和尚はYouTubeをどのように活用されていますか?」ーー今回は、大愚和尚とYouTubeの関係、またインプットについて、さらに「一問一答」誕生のきっかけとなった10代の少女の今についても聞いてみました。

●今こそ聴きたい!大愚和尚の一問一答
  ・vol.1「なぜ『処方箋』なのですか?」 

アウトプットのためのインプットはしない

Q:大愚和尚はYouTubeをどのように活用されていますか?普段実践されているインプットについても教えてください。

そうですね。ノウハウ系の番組、例えばパソコンのソフトの使い方や、アジサイをイキイキさせる対処法など、「何かを調べる目的」で見ることはあります。

YouTubeのほか本を読む、テレビや映画を見ることもありますね。
ただ、「一問一答」のような、いわゆる「アウトプットのためのインプット」はしません。

例えば、戦地にいる軍医は、さまざまなけがや病気に苦しむ患者を1人で診察しますよね。「この症例は専門外だし、調べる手段もないからこの症状は扱えない」ということはないでしょう。

それと同じで「一問一答」においても、取って付けたように調べて答えるようなものではないし、「この質問には答えられない」ということもあり得ません。いつでも真正面から向き合って、どんな角度の質問でも答えられるようにしています。

お釈迦様が施した「根本療法」

お釈迦様は旅の先々で、「私はこんな苦しみがあります」と相談してくる人々に対して、その場で答えていたそうです。なぜそれができたかというと、対症療法ではなくて「根本療法」を施していたからです。

「根本療法」とは、人間の心はどんな状態になっているか、そしてその人の苦しみの本質は何なんだろうかということだけを見ているのです。では、なぜそうしたと思いますか?

それは、「悩みの違い」というのは、料理でいう「材料の違い」のようなものだからです。材料が変わっても、炒める時には火と油を使う、ゆでる時には火と水を使うというような根本のルールは変わりませんよね。

さらに、いつもレシピ動画を見ながら料理していると、動画を見ずには料理ができなくなりませんか?野菜炒めを作りたいなら、材料を切って、火で炒めて、味付けをするという根本的な手順さえ覚えておけば、材料が変わっても野菜炒めはできるわけです。

つまりお釈迦様は、人間の心のあり様など、世の中の「真理※」をしっかりと抑えているからこそ、どんな相談にでもその場で答えられたのです。
(※「真理」について知りたい方は、vol.1の記事も合わせてご覧ください。)

「根本療法」は変わらない

「大愚和尚の一問一答」の動画は長いでしょう?30分ほどのものもありますからね。質問に対して答えをあらかじめ準備して、10分や3分にまとめることだってもちろんできます。

さらにいえば、ITを専門とする方に「離脱率が低くなるので、動画は短い方がいいですよ」「こうやってまとめるといいですよ」というアドバイスをいただいたことも何度もあります。

しかし、「もう明日がどうなるかわからない」という相談者の悩みに対して、「あなたの苦しみを3分でまとめます」ということは、絶対にありませんよね。そして、あってはならないと私は思っています。

根本療法の答えは、時代や場所が変っても、流行り廃りなく、質も規模も一切変わることはないものなのです。

歴史や自然は、最高の教科書

ではどうやって私たちはインプットすべきでしょうか。例えば、新幹線のパンタグラフ(終電装置システム)を開発する際に、鳥の羽の構造をまねたという話があります。歴史や自然は、人類の最高の教科書なのです。

先日私が山で作業している時に、2本ある木の1本は明らかに枯れているけれど、もう1本はまだ生きているなと思いつつ、その木の足元の草刈りを始めました。すると、すぐにもう1本も枯れているとわかったのです。木の幹にキノコが生えていたからです。

キノコが生えるということは、すでにその木は菌の温床となって浸食されていることが多いからです。

この理論は、会社経営にも通じるところがあります。「うちの会社は何がだめなのでしょうか」と経営者の方からよく相談されますが、大概はその社長本人が原因です。倒産するかどうかは、完全に社長の肩にかかっているからです。

ちなみに、会社の売上が伸びないのはナンバー2の人の問題です。これは歴史を見れば明らかです。かの有名な本田宗一郎さんや、豊田章男さんは自ら営業していますか?しませんよね。ナンバー2の人が伸びなければ、会社の売上は伸びません。

社長自身が足元にキノコが生えていることに気づけない状態であるがために、会社はつぶれてしまうのです。

インターネットだけではもったいない

このように自然からの学びはとても重要です。私であれば、日々お葬式をしたり、スタッフと話をしたり、お弟子さんが病気になった話を聞いたり。それらすべての行為が勉強でありインプットです。

若い方は、「インプットは、すべてインターネット上の情報から」得るという人も少なくないようですが、それはもったいないなと思います。すべての情報が似通っているからです。

目に見えて、簡単に手に入るものを参考にしても、その情報は、また誰かにまねされて消費されていくだけです。

私は他の方から「何を考えているかわかりません」といわれることがあります。この「私」という器に何かを投げたら、どういう答えが返ってくるのか。それは私自身にもわからないです。

5年後の自分が、はたしてどういう感覚でいるか。それがわからないからこそ楽しいし、面白いのです。

まだ目に見えていないことでも、自分なりに経験し、結論を出してみる。そのために研究する。そうした姿勢が大切だと思います。

一問一答のきっかけ「10代少女」の今

Q:「一問一答」誕生のきっかけとなったのは、10代の少女と伺いました。

はい。彼女は10代特有の悩みにさいなまれ、リストカットを繰り返していました。そんな娘を救いたいと、お母様が福厳寺まで連れてこられました。

私は彼女とお母様を迎え入れ、話を聴き始めました。すると突如、彼女は私の目の前でまたリストカットをはじめたのです。

私はとっさに、彼女の顔をひっぱたいてしまいました。

幸いなことに、この時も命に別条はありませんでした。そして、これを機に彼女は立ち直っていきました。現在、彼女は今、二児の母となって元気にされています。

あの時の彼女は、お母様も「手に負えない」と訴える状態でした。しかし、彼女は自分自身で問題を乗りこえるだけの力があったのだろうなと思いますね。

彼女が相談に来た頃、まだ私は動画配信していませんでしたが、今は彼女のご両親も「一問一答」を楽しみに見てくださっているそうです。相談にこられた方が、いつまでも元気にしていらっしゃるという知らせをいただくのは、心から嬉しいことです。

取材を終えて

大愚和尚もYouTubeを見ていると聞き、正直とても親しみが湧きました。

けれども、それはあくまで大愚和尚の生活のほんの一部でしかなく、「出会う、見る、聞く」など日々の全ての行為がインプットだという言葉が嬉しくもありました。だからこそ、「一問一答」は私たちの心に響き渡るのかもしれません。

わたしたちは、スマートフォンやパソコンにどれだけの時間を費やしていることでしょう。もっともっと足を動かし、心と体を使わなければいけないと私も反省しました。

お弟子さんからこんなエピソードを聞きました。「大愚和尚は寝ているのだろうか?と思うくらい、いつも動いていらっしゃいます」と。

大愚和尚はどんな景色を見て、どんな空気の中で生きているのか。大愚和尚のインプット『生きる』を密着取材してみたいーーまた改めてライター心に火がつきました。

桐嶋つづる