月に一度全国のいずれかの県で開催され、今年5月にはアメリカ・ロサンぜルスでの開催が実現した大愚道場。この日、大阪では三度目となる大愚道場が、大阪市中央公会堂にて開催されました。
多くの方が参加された、今回の大阪道場の、いつもの真剣な学びの雰囲気に加え、どこかお祭りのような楽しさも加わった、熱気あふれる当日の模様をご紹介します。
歴史的建築物で開催した大阪・大愚道場
大阪市北区中之島は、高層ビルが立ち並ぶ大阪有数のオフィス街。ここに位置する大阪市中央公会堂は、大阪市のシンボル的施設ともいえます。
大正時代ネオ・ルネッサンス様式の歴史的建築物として、国の重要文化財にも指定されており、かつてアインシュタインやヘレンケラー、ガガーリンなど歴史的人物の講演にも使用されたといいます。
開場1時間前、やや緊張の面持ちでサポートメンバーの皆さんが集合します。メンバーの主な役割は、司会、会場受付、会場案内、物販など。初めての方もいれば、複数回参加の頼もしいベテランメンバーも、いらっしゃって、バラエティあふれる顔ぶれが揃いました。
まずは、そんな意気込みあふれるメンバーのお話をご紹介します。
善友と共に歩む喜び|サポートメンバーの声
◆「参加者の表情の変化を実感」~雅豊(がほう)さん~
参加者が記念撮影するためのタペストリー設営に勤しむ雅豊さん。大愚和尚との出会いは約5年前。大愚和尚がゲスト出演されたラジオ番組を聴取され、「この方はホンマもんや!」と感銘を受けたそう。
ほどなく授戒会を受け学びを重ねていくうちに、何かお役に立ちたいと思い立ち、以来、関西で開催される道場には毎回サポートメンバーとして参加されています。
そんな雅豊さんだからこそ見える景色。それは「回を重ねるごとに皆さんの表情が柔らかくなっている」こと。
参加者の変化を、我が事のように喜びます。そんな人が1人でも増えるようにと、今後もできる限りサポートに努めたいと意欲を語ります。
◆「家族のように親しさを感じています」〜曜子さん
コロナ禍で外出がままならなくなった3年前から『一問一答』を聴くようになった曜子さん。初めて耳にした時から「人間心理に基づいたお話に、ぐいぐい引き込まれていきました」と語ります。
当時、曜子さんは子育てに関する悩みを抱えていました。それが『一問一答』を聴くうちに、少しずつ解決への糸口が見えてきたといいます。
「和尚様には感謝の気持ちでいっぱいです」。だからこそ、自分も何かお役に立ちたい。そんな思いでサポートメンバーに志願されたそうです。
◆「視野の広がりに手応え」~あつこさん~
YouTubeの『一問一答』は、お悩みや課題に対する救いや解決策を求めて、多くの方が視聴されています。そんな中、あつこさんの場合は、ちょっぴり異色。「もともと仏像が好き」で仏教関連の番組を検索し、このチャンネルに出会ったそう。
「実は和尚様は私と同い年。そんな方がお釈迦様の教えをわかりやすく伝えてくださるところに親近感を覚えました」。仏教の基本的な教えを知りたいと思っていたあつこさんに、大愚和尚のお話はとてもしっくりくるものだったよう。
佛心僧学院の4期生としても学び始めたあつこさん。「正直、遅れ気味です」と苦笑しつつも、受講するたび視野の広がりを感じている。そんな手応えが言葉の端々から伝わってきました。
大愚道場に参加して〜参加者の声〜
この日の道場には約250名以上の方が参加。その1人1人が大愚和尚の言葉を少しも逃さぬようにと真剣に聞き入っています。そんな参加者の方々にもお話を伺いました。
◆「道場の熱気に、学びの気持ちが刺激されました」(大阪府在住・男性)
現在、大学院修士2年の24歳です。進路に迷い悩んでいたとき叔母から勧められ、「一問一答」の視聴を始めたのが今年4月。
その中で特に興味深かったのが、怒りの正体や不安の原因について。もともと人の行動心理に関心があり、学びたいと思っていたところ、仏教的視点からもアプローチできることを知り、俄然興味が湧きました。
道場には初参加ですが、動画ではわからない臨場感を体験でき、さらに学びが深まる感じがしています。大愚和尚を生で拝見できたことにも感激しており、ぜひまた参加したいと思っています。
◆「体の有効な動かし方を、具体的に教わりました」(大阪府在住・女性)
5年前から「一問一答」を視聴。以前、小牧市に住んでいたこともあり、和尚様にはご縁を感じていました。
子どもが小さいので福厳寺にはなかなか伺えず残念に思っていましたが、大阪の道場でお会いできると知り、すぐさま参加を決めました。
実際お話を伺ってみて、その1つ1つに納得。中でも「体が大事」というお話にはすごく共感できました。どのように体を動かせばいいのか具体的に学ぶことができたのも、ライブだからこそ。
体の動きがこんな風に心に響いてくることを知り、とても勉強になりました。
会場が1つになった「リアル一問一答」
今回の大愚道場は、12:30〜14:00が第1部、45分のランチタイムをはさんで14:45〜16:15が第2部という2部構成。1部が主に座学、2部が実際に体を動かし実践するという流れで、お釈迦様の教え「四諦八正道(しだいはっしょうどう)」を体感していきます。
毎回、予定時間を超過しがちになるほど熱のこもった講義。そして、最後には必ず参加者からの質疑応答の時間が設けられています。この日も3名の方が、大愚和尚に直接悩みや質問を投げかけていました。
それに対し、「こんなにたくさんの人がいる中で、よく自分をさらけ出してくださいました」と、質問者に労いの言葉をかける大愚和尚。参加者も、質問者の話に慎重に耳を傾けます。
お悩みの内容によっては嗚咽をこらえながら聞き入る人もいて、ここにいる人すべてが我が事として向き合い、大愚和尚の回答を受け止めていることが伝わってきます。
これがまさに「リアル一問一答」。会場が1つになったことを実感できる瞬間です。こうした体験ができることも、大愚道場ならでは。実際に足を運んだ人だけが得られる感動です。
そして、フィナーレ
毎回道場の終わりには、司会担当のサポートメンバーが、本日の所感と、この道場開催に関わったすべての方への感謝とお礼をお伝えし、最後は大愚和尚、サポートメンバー、参加者も含め、全員で姿勢を正し、お互いに合掌礼拝で会を終えました。
礼に始まり礼に終わる、道場らしい清々しい解散も、大愚道場の特徴の一つです。
編集後記
大阪で1回目に開催された2022年2月の大愚道場は、コロナ禍が深刻さを極めていた時期。参加人数は現在の半分以下に絞られ、座席の間隔も広げるなど、感染予防にも神経を尖らせながら慎重に進められました。
しかし、ようやくこのような大きな会場で道場を開催できるようになったことは、運営メンバーにとっても、参加者の皆さんにとっても、大きな喜びと言えます。
取材し改めて思うのは、大愚道場は運営の方々をはじめ、福厳寺のお弟子さん、サポートメンバーの皆さんなど、多くの人たちの熱意と協力の上に成り立っているということ。
寺町新聞取材チームも、ここで得た学びを無駄にせず、しっかりと生かしていかなければならない……と、決意を新たなに会場を後にしました。
取材:杉井千美