「質・香り・味わい」と三拍子揃った「ぶどうの女王」と呼ばれ、まるで黄緑色の大粒の宝石のような輝きを放つシャインマスカット。
そんなシャインマスカットの「新たな側面を生み出したい」と、一房ずつ丁寧に手摘みされた生食用の粒のみから抽出された果汁を100%使用して造られたのが、スパークリングワイン「SINKA-真果-」です。
生みの親である、山梨県で「桃・シャインマスカット」を栽培する加賀見桃農園・株式会社Playest JAPAN(プレイストジャパン)代表の加賀見進さんは、こう話します。
「問題を”ハードル”と捉えなおし、その先にどんな未来があるのかを想像するとワクワクします。」
日本の農業は、今やさまざまな問題を抱え、衰退の一歩をたどる一方。その農業において「ワクワクする」加賀見さんの目には、どんな「桃源郷(ユートピア)」が映るのか。
「The Message」は、各分野のプロフェッショナルの「受け継いだ想い」「伝えたい想い」にスポットを当て、世界に気づきと、共感の輪を広げていくためのプロジェクトです。
今回は、加賀見桃農園・株式会社Playest JAPAN代表の加賀見さんの「人の喜びを実らせたい」思いについて伺いました。
「意欲と慈悲心」×「自由な発想」が生んだスパークリングワイン
いちご・りんご・桃・みかん…今や生色用だけでなく、ジャムなどの加工品に使用される果物は多く存在します。
一方、シャインマスカットは、加工品にして生み出すことが現状では珍しいといいます。なぜなら、加工をほどこすことでシャインマスカットの特徴が薄れやすいなど、さまざまな「問題」が転がっているからです。
けれども、加賀見さんはいいます。「そこに、まだまだ伸びしろがあると感じたのです」と。
「農家として胸が熱くなることがしたい」
「多くの人に”喜びや楽しみ”を届けたい」
「熱い意欲と慈悲心」、そしてどんなささいなことにも面白みを感じる「自由な発想」で問題を”ハードル”と捉え直すことで、シャインマスカットの唯一無二の香りと味を最大限に生かし、男女ともに楽しんでいただけるという点から、お酒が好きな方もそうでない方も楽しめる「スパークリングワイン」の開発を思い立ったのです。
桃産地は、負のループ。農家転身、混迷時代突入へ
遡ること、20数年前。中学から始めたエレキギターを片手に、高校卒業と同時にひとり東京へと向かった加賀見さん。
しかし、音楽活動の傍ら始めたアルバイトに夢中になり、ビジネスの世界に足を踏み入れます。
そして、25歳の時。加賀見さんのお父様が病気を患ったのを機に、祖父の代から続いていた実家の桃農家の担い手として呼び戻され、加賀見さんの桃農家人生が始まりました。
ところが、あらためて冷静に周りを見渡すと、桃農家は70代以上の兼業農家さんばかり。10年もすれば景色が一変することは明らかでした。
そのうえ、桃の栽培は非常に難しい。天候により熟度の進行状況は絶えず変化し、収穫のタイミングを見誤ると実が落ちてしまう。桃は、半日もあれば状況ががらりと変わってしまう繊細な果物です。
加賀見さんはいいます。「だからこそ桃の栽培は面白いんです。それでも、受け継いだ当初は本当に大変でした。」
価格がひとたび低下すれば担い手が減少する、桃産地の「負のループ」。なにより、目の前の桃の栽培もなかなかうまくいかない……
夜間にアルバイトをしながらなんとかやりくりしたものの、先の読めない不安な暮らしが続きました。
「僕の20代後半はほぼなかったようなものです」と当時を振り返ります。
「最大級に農業を楽しむ!」決意も、”真の課題”が発覚
地を這うような20代を終え、その後37歳の時、加賀見さんは一大決心をします。
桃の栽培と合わせて、樹勢の強い「シャインマスカット」の栽培を始めたのです。山梨県は寒暖差があり、日照時間が一番長いといわれているため、シャインマスカットは風土に合ったフルーツでした。
それに伴い、新たに会社を立ち上げ、従業員を雇い、農業を通して自らの中に眠る「人の喜びを実らせたい」思い実現への一歩を踏み出します。
社名は、「株式会社Playest JAPAN」。「est–最大級に」「play–楽しむ」、社名には「最大級に楽しむ!」という思いが込められています。加賀見さんはこの社名とともに、再び意気揚々と船を漕ぎ出しました。
しかし、今度は新たな別の問題が勃発します。それは「人間関係」の問題でした。
従業員をいかに育て、みなでともに歩むか、それは桃の栽培並みに難解だったといいます。
「自分のことだけを考えていては、けしてうまくいかない。またひとりでも『自分さえよければいい』という人がいれば、組織はほころび始める。」
加賀見さんは日に日にこの思いを強くし、農業においても、会社経営においても「大切なことは何か」を深く問い、「真の課題は”人”にある」と気づいたのです。
桃源郷は、「人」によって作られる
桃の栽培を始めてから17年。
最近では、近隣に住む高齢者や、周りのみなさんが困りごとがあると、会社に相談しにきてくれるようになりました。また、畑で働く若い従業員の姿を見ては、楽しみにし、喜んでくださっているといいます。
加賀見さんはなによりも「挨拶」を大切にし、「人」との関係をおろそかにせぬよう、自らも実践し、従業員にも徹底した上で、耕作放棄地の解消や活用に注力し、地域の社会問題にも挑んでいます。
桃源郷(ユートピア)、それはつまり「理想の世界」。現在の加賀見さんの思い描く桃源郷とはどんな世界なのか、最後にこう話してくれました。
「地域のヒーローでいたいのです。ヒーローとは、社会にとって有益なことをする者です。
目指すは、農業を通した地域の活性化であり、人の喜びを実らせること。私たちひとりひとりが自分を思い、他を思い、実践する世界です。
従業員も、お客様も、地域の人々も、みんな「人」。美味しい果実も、理想とする世界も、すべては「人」によって作られていることを忘れず、心から感謝しなければなりません。
Playest JAPANの桃源郷は、どんどん進化していきますよ。ワクワクしています。」
現在は、「真果」第二弾として、シャインマスカットの「ノンアルコール」ドリンクや、桃のスパークリングワインの開発も視野に入れているといいます。
加賀見さんの「意欲・慈悲心・自由な発想」に終わりはありません。Playest JAPANの快進撃はまだまだ続きます。
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