こんにちは、寺町編集室の原田です。
今年は4月に入っても、全国的には冬のような寒さが続く地方もありましたが、最近は春らしい陽気を感じることが多くなりました。
先週、福厳寺へ足を運んだ際も、境内は目に見えて明るい緑が増えていました。所々に黄色いタンポポの花が咲き、その周りをひらひらとモンシロチョウが舞っています。数年前に伐採された桜の巨木の切り株を見ると、穴の隙間に土や枯れ葉が積もり、そこから別の草花が伸び、新たな生命を育む礎となっていました。
さて、今月の後半となる4月26日(土)、福厳寺では“花まつり佛心大祭”が開催されます。これはお釈迦さまの誕生日を祝う行事であるとともに、その祝福の対象は来場者を含めた、すべての人に向けられる“命の祭典”です。
これはお釈迦さまが、そのように願われたことに由来しますが、具体的にはどのようなことが行われるのでしょうか。寺町新聞が取材した去年の花まつりを例に、分かりやすくご紹介したいと思います。

心を開放して楽しむお祭り
まずはその名前の通り、お祭りとしての楽しみにあふれているのが、花まつりの1日です。イエス・キリストの誕生を祝う12月のクリスマスは、日本中で多くの街が綺麗に飾りつけ、美味しいものを食べたり、プレゼントを買ったりして心を躍らせます。
一般的に4月はそうしたイメージがありませんが、クリスマスと同様にお釈迦さまの誕生を祝い、来場者には華やかに楽しんで貰いたいと、多くのものが用意されています。
昨年は境内の広場に和・洋・中のさまざまな食事や飲み物、またスイーツのお店が並びました。いずれも選りすぐりの美味しいグルメで、これらを味わいつつテーブルを囲む、大勢の来場者が見受けられました。
もともとの知り合い同士もそうですが、その場をきっかけに初めての人同士が親しくなり、談笑している光景も印象的でした。


また福厳寺ならではのグッズやワークショップの出店も並び、お買い物や体験を楽しめるのも、大きな特徴です。そして2025年は初めて、この日のためにアートや音楽が披露される『文化芸術奉納』の開催も予定されています。
今年はこれまで続いてきたものに加え、新たな催しやサプライズを目に出来る可能性もあり、現地ならではの感動を味わうことが出来そうです。
心身が癒やされ整う

ところで、お釈迦さまの誕生日は本来4月8日(火)ですが、なぜ福厳寺の花まつりは、それよりも少し遅れて開かれるのでしょうか。1つはゴールデンウィークの始まりに合わせることで、遠方からも足を運びやすくなるという、物理的な理由があります。
しかし、もう1つ大切なのは新年度が始まり、少しの時間が過ぎた頃というタイミングです。
この時期は新しい学校や職場、クラス替えや異動といった新しい環境に馴染めず、悩む方も少なくありません。また、そうした事情がなくても『5月病』という言葉もあるように、季節の目まぐるしい変化から、心身の調子を崩されてしまう方もいます。
この大事なスタート期間のつまづきを引きずると、1年の多くが不調になってしまいかねません。だからこそ花まつりが心身を整えるきっかけとなり、皆さんに良い1年を過ごして欲しいという願いが、秘められています。


昨年はみまもり整体の施術体験により、身体の不調を整える方や、花まつり法要や大愚和尚の法話を通じて、心を整えられていた方も大勢いらっしゃいました。
また、とくに普段が都会暮らしの方には、境内を取り囲む自然も大きな癒しとなります。鮮やかな新緑を眺めながら深呼吸し、草木や花の香りを体感するだけでも、気持ちが大きく安らぐ環境です。
お祭りといえばパーっと盛り上がることも素晴らしいですが、心身をニュートラルに戻す癒しを得ることも、大事な休日だからこそ重要です。同じ楽しさでも“静”と“動”の、両方の要素が得られるのも、この1日ならではです。

豊かな人生へつながる学び

ここまでお伝えした花まつりですが、その根幹にあるのは、すべての人間、さらにはその枠をも超え、地球上に存在するすべての生き物の命を慈しむこと、命の祭典であることです。
昨年、大愚和尚の法話では冒頭に「自分の目や耳や肌の感覚、全身全霊を研ぎ澄ませて、命を感じてみて下さい」というお話がありました。
五感を開放して身の周りに息づく生命の存在を感じ、気付くことの大切さ。これは感性の話のみならず、これからの日本が世界でどう生きて行けば良いかという、大きな話にもつながっていました。

去年の今頃は円安や物価高が止まらず、多くの方が不安に苛まれ始めていた時期でした。
これは現在も続いていますが、日本が昔から守り続けてきた伝統文化と、生き物たちの生存戦略から学べる創意工夫のかけ合わせに、厳しい情勢を生き残るヒントがあると説かれました。
このように目のまえの話だけでなく、大局的な気付きや人生そのものを豊かにする、学びも得られるのが福厳寺の花まつり佛心大祭です。これを、ぜひ1人でも多くの方に体感して頂きたい思いです。


なお今年も大勢の来場が予想されますが、ゴールデンウィークの始まりという日程から、新幹線や飛行機の席、また名古屋周辺を始めとした宿泊施設なども、早々と埋まってしまうことが予想されます。とくに遠方から来られる方は、早めのご予約をお勧めいたします。
当日の詳細スケジュールや福厳寺へのアクセスについては、以下の公式ページをご覧ください。

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