秋の深まりが感じられる2022年10月29日、福厳寺にて授戒会が執り行われました。前回の記事(レポート#1はこちら)では、授戒会の意義、授戒会がどのようなことを行う儀式かについてご紹介しました。
本記事では、「戒名」の成り立ちや、この度授戒をされた3名の参加者へのインタビューをご紹介します。授戒への想い、決意した背景、未来への展望など、参加者の心の内側に少しだけ触れさせていただきました。
戒名の成り立ち

戒名を日本ではじめて授かったのは、聖武天皇であるといわれています。聖武天皇は、754年東大寺に中国の僧・鑑真を招いて授戒会を行いました。その際、戒を授かった証として鑑真から贈られた「仏弟子としての名前」が戒名です。
さて、佛心宗にて授けられる戒名は、以下2つの要素で構成されています。今回授戒された「美田秋水(びでんしゅうすい)」さんの戒名を例に説明します。
①「美田」:道号(どうごう)
授戒者が、これまでどのように生きて来たか、生き様を表す部分です。
②「秋水」:戒名(かいみょう)または法号(ほうごう)
授戒者が、この先どのような人生を生きるか、その指針となるあり方を示す部分です。
※道号と戒名の中に、本名の漢字を1〜2字入れることが慣習となっています。

「心のふるさと」を得て~参加者インタビュー~
授戒会を行った今、参加者はどんな感覚を得られているのでしょうか?
今回は授戒会お終えた直後の3名の方にインタビューにご協力をいただき、初めて出会った自らの戒名に対する思いを伺いました。
①「意味を探すこと」が私の人生|美田秋水(びでんしゅうすい)さん

1人目は、日本で生まれアメリカで育った秋水さん。昨年からは、再び日本で暮らしはじめました。戒名は、美田秋水。
秋水さんは今年の7月に、最愛のお母様を亡くしました。
お母様は生前、ロサンゼルスで開催された大愚道場にも参加され、常日頃から大愚和尚を慕われていたといいます。戒名に添うように自覚を持って生きる凛としたお母様の姿が忘れられない秋水さんは、お母さまとの別れを機に、自分も戒名を授かることを決意。
日本への移住や最愛の母の旅立ちなど、大きな転機が続く中で自分がぶれないための「芯」となるものを見つけたかったといいます。

「まだしっくりはきていないです」といいつつ、「大愚和尚様が、アメリカで育った私のためにわかりやすい文字を選んでくださったのかも」とシンプルな文字の並びを見て笑みを浮かべます。
『水』は流れて形が変わるもの。この文字は『どんな形にもなれる』という 大愚和尚様からのメッセージかもしれませんね。シンプルな文字だけど、きっと深い意味がある。その意味を探すことが『私の人生』そのものだと思います。何をすべきか、これからは自分で決めていこうと思います。
秋水さんは今、新たに目の前に広がった、自らの道を力強く歩みはじめました。その目は、かつてのお母様をほうふつとさせる優しく強い光を放っていました。
②母の思いを織り込んだ戒名を大切に|雅景嗣法(がけいしほう)さん

2人目は、「大愚和尚の一問一答」をきっかけとして、授戒会に参加された嗣法さん。一問一答に出合えたことを感謝されており、「今でも動画を見ては、自分を見つめなおします」と話します。
以前は苦しみの多い日々を送っていましたが、一問一答の動画をきっかけに、自らを奮い立たせ、チャレンジしてきたという経験を何度も重ね、今では心が軽くなって来ている実感があるそうです。
嗣法さんは現在、北海道でキャンプ場を営み、春夏秋冬の北海道の大自然の恵みを体感できる空間をお客様に提供しています。佛心会に入って3年目となる今年、仏教を深く学ぶ覚悟を決め、戒名を授かることにしました。

嗣法さんの本名はお母様がつけてくれたもので、戒名には自身の「雅」と「嗣」という文字が含まれています。「母の思いを織り込んでいただけて嬉しい。大切にします。」と目を細めます。
『景』は、私が毎日を過ごす大自然を意味しているのでしょうか。『法』は、『変わらずしっかり学ぶように』といわれているような感じがしますね。戒名の通り、今後もしっかり仏教の教えを学んでいこうと思います。
嗣法さんの笑顔は、母なる大地に育まれた力強さと豊かさを感じさせます。今後より一層、人々に「自然との調和の時間」をもたらし続けてくれるに違いはありません。
③まさにここから生まれ変わる|弘心妙泉(こうしんみょうせん)さん

3人目は、数年前から佛心僧学院で仏教を学ばれている妙泉さんです。
仏教を学びはじめたきっかけは、「混沌とした世の中や、仕事やプライベートの複雑な人間関係の中で『生きる指針』となるものがほしい」と思われたそうで、「授戒を受ければ、自分の戻る場所ができる。きっと充実した人生を送ることができるはず。」そう考えるようになられたそうです。
妙泉さんは、この日初めて大愚和尚と対面し、その存在感や安心感に圧倒されつつも「自分も大愚和尚のような存在に少しでも近づきたい」と感じ、「何かを正してくれるような『声』が救いになった」といいます。

戒名を見た直後の感想を伺うと、こんな答えが返ってきました。「これまでの人生は、『まじめ、堅実、地に足のついた人生』の代表格のようなもので、裏を返せば『頑固さ、固さ』と言い表せるようなものでした」と振り返ります。
しかし、授かった戒名には、「妙」や「泉」の文字が並びます。どちらも流れるような柔軟なイメージを持つ文字。妙泉さんは「まさにここから生まれ変わる」と感じたそうです。
妙泉さんは、まるで雲の間から差し込む太陽の光に導かれるように、目をきらきらと輝かせて新たな自分像へ思いをはせていました。
編集後記
縁があってこの日に「心のふるさと」を得た3人の参加者。これまでの背景や想いはそれぞれであるものの、互いにふるさとをともにする「同志」となりました。
今回は秋の授戒会ということで、「秋」をイメージする文字が多く採用されており、「今日この儀式で、同じ文字を授かった方々は、また深いご縁がありますね」と大愚和尚は話します。
授戒会を通して、「佛心の輪」はまたここに広がりを見せたのではないでしょうか。
儀式の最後には、「おめでとうございます!」の声と大きな拍手が参加者に贈られていました。お三方の人生の再出発を心よりお祝い申し上げます。

次回の記事(レポート#3はこちらから)では、授戒された方がどう生活を送られているかについてのインタビューをご紹介します。そして、授戒会での大愚和尚の法話もお届けします。引き続きお楽しみください。
桐嶋つづる
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