目次
77億分の1で出会ったあなた
いま地球の人口は、77億人を越えました。その77億分の1が、今こうして出会っている。
ものすごい、ぐうぜんとぐうぜんが重なって、ご縁があって、この人と出会えた。
このあり得ない出来事を『有り難う』と言います。
「有(あ)ることが難しい」。このひと言以外で、表現することはできません。
そして、その『有り難う』の原“因”をつくってくれた存在を、“心”に刻んで、決して忘れない。それが『恩』です。
これができるのは、人間だけです。
もし500年前に盛禅和尚様がおられなかったら、その人が命がけで仏法を求めなかったら。
様々な地にわたり、ここで修行をなさって、教えを説かれなかったら。いま私はいないし、皆さんとお会いしていないんです。
私は、この500年続いた福厳寺の歴史を、語り続けます。
この“恩”を決して忘れない。
そしてこの先の500年に、繋げて行きます。
きょう皆さんの中には、盛禅和尚様の物語が入りました。これで全然、関係ない人ではなくなってしまいましたね?
もう話を聞いちゃったんですから(笑)。
そして皆さんご自身も、もしお子さんがいらっしゃれば、ご自分の物語を。そして、お母さん・お父さんの物語を、語り継いで頂きたいのです。
そうすれば子ども達は、恩を忘れない子たちになります。それが世界の平和に、繋がって行くんです。
知らないうちに自分が恩恵を受け、今ここに生きていることを心に刻んだら、私たちは命に優しくなれるんです。
皆さんは、きっと体重3000グラムくらいで、生まれてきたでしょうか。
成長していま、何十キロもある体重・・それは全部、わたしたちが食べた生き物です。そうですよね?その命のうえに、いま私たちはこうして生きている。これも“恩”です。
でも恩を忘れてしまえば、今だけ、自分だけを求めて生きる事になります。
「俺には関係ない」と命を殺め、自然を乱伐し、そして自らの利益のため、ついには戦争を起こすんです。
いま日本人は、世界の好きな所に行くことが出来ます。
日本のパスポートは世界で最も、多くの国を訪れる事ができます。そんな威力をもったパスポートは、誰が作ったのでしょうか?
過去の日本人たちが世界中の信頼を得て、作り上げた。
これも“恩”です。
そのようにして、私たちは想像力をもった人間ですから。色々と自分の恩を見つけて行くと、いっぱいあるんです。
そうしたら、その恩を仇で返すことは、決して出来なくなります。
もし世界中の人がそう考えたら、戦争は出来なくなるはずなんです。
ぜひ皆さんも、この“恩”を、とくに三代忌の時期には、心に刻んで頂ければと思います。
“有り難う”ございました。
三代忌に集った方々にお会いして
この日は参加者の方とも、お話できる機会があり、皆さまの考えや歩みからも
多くの学びを頂くことができました。
是非、これを多くの方とも共有したいと思います。
【道路にも、心の中にもラインを引いて】禅覚雄彦(ぜんかく・ゆうげん)さん
愛知県の豊橋からいらっしゃった、雄彦さん。
もともとは数年前にご親族が亡くなり、葬儀を行うお寺を探されていました。
そのとき福厳寺の僧侶が親身で、心に寄り添う対応であったため、決められたのが最初のご縁でした。
「それから住職の和尚様が、YouTubeで配信をしていらっしゃると聞いたんです。視聴し始めたところ、とても大きな感銘を受けまして。それ以来、私も佛心宗を生きる指針にしています。」
このように語る雄彦さんは、ヒコライン(株)という会社を経営されていらっしゃいます。業務内容は、各地の道路に区画線を引くことです。
経営が独りよがりになりがちだった時期もあったところ、仏教に学んでからは、従業員と心を通わせられるようになったといいます。
“1台でも多くの車両が、安全に行き来できますように”。
そうした願いを込めて、業務に携わる雄彦さん。
日々、道路にラインを引き。そして人生においては、仏法というラインを道しるべに、歩まれています。
この記事を書く私は正直、今まで道路の線を、あって当たり前のものとして、そこに何かを感じる事はありませんでした。
しかし、その裏には誰かの想いや、働きが存在している事実。これも“有り難い”ものなのだと、雄彦さんに気づかせて頂きました。
【あなたのとなりにある仏教、佛心宗】知順了香(ちじゅん・りょうこう)さん
兵庫県からいらっしゃった了香さんは、かつて生き方に迷いがありながらも、宗教という存在に懐疑的で、仏教も例外ではなかったと言います。
しかし一問一答をたまたま視聴し、そのアドバイスが極めて現実的であったことに、強く心を惹かれたそうです。
ふわっとスピリチュアルなことを言うのではなく「あなたがこのようにすれば、周りはこのように思う。だから、このように変わる」と、論理的。
また大愚和尚はつねに、届かない高みから言うのではなく「かつて私も悩む1人でした」と。あちら側でなく、こちら側に。
出家をした特別な人だけでなく、誰もが触れられる近くで、正しく生きる道を教えて下さる。だからこそ、佛心会に入る決意をされたそうです。
振り返れば、かつて私自身も同じでした。それを了香さんが言語化して下さったことで、改めてその原点が鮮明になりました。
「佛心宗とはなんですか?」これから、知らない方に尋ねられたときには「私たちのすぐ隣にある仏教です」。
私も、そのようにお伝えしたいと思いました。
【怒りとの向き合い方を目指し、学び続ける】大岳樹林(たいがく・じゅりん)さん
千葉県からいらっしゃった樹林さんは、5年ほど前にうつ状態に陥っていたところ、一問一答の気づきに救われ、佛心会に参加されました。
今は宅急便の運転手をされていますが、昨今ニュースでも騒がれた、あおり運転を受けることがあるそうです。
疲れているときには特に、カーッと怒りが沸いて、収まらなくなってしまうと言います。
そんな自分をなんとか変えたい、そのために大愚和尚に少しでも近い距離で学びたいと、考えていらっしゃるそうです。
この日も、儀式が始まる何時間も前に足を運び、境内を見つめている姿を、お見かけしました。
「僕はまったく未熟者ですから」と、謙遜される樹林さん。
しかし、初対面の私にも悩みをさらけだして下さり、誠実で純粋なお人柄を感じました。
きっと遠くない先、怒りとの向き合い方を見つけられるのではと。そのように感じられました。
【佛心と、善友の輪を広げ続ける】香華一葉(こうげ・いちよう)さん
埼玉県からいらっしゃった一葉さん。戒名の“華”は慈悲、“葉”は智慧の意があり、「人の喜びにも悲しみにも、寄り添えますように」と、大愚和尚様に頂いたそうです。
そして、その名に込められた想いを、周りの人々に実践されています。
三代忌の法話を聞いて、とくに“恩”と“仏縁”の話が、深く心に刻まれたといいます。
本当はもっと、今は亡きご両親に「私が生きていることへの、感謝を伝えたかった」と、語る一葉さん。
その分を、これから出会う人々に伝えていきたいと、お話くださいました。
実際に、仏縁で知り合った色々な方に明るく声をかけ、その輪を広げるリーダー的存在となられています。
今、佛心宗の活動では、善友の輪が広がる一方「本当はつながりたいのに、人に声をかけられない」。そうした声も、耳にすることがあります。
そのようなとき、まさに一葉さんのような方が、佛心の輪が広がるためには、不可欠に違いないと。お会いして、そのように感じました。
歴史に想いを馳せるということ
“YouTube一問一答”や“大愚道場”をはじめ、“テンプルステイ”の準備も進む、佛心宗。これまで私は、そうした現在や未来の活動にのみ、注目しがちでした。
しかし三代忌が、過去に想いを馳せるきっかけとなりました。
500年以上もの歳月、顔も名前も知らない多くの人々が、福厳寺を守り、支えてきた事実。
そうして繋がれたご縁の先に、いまここに居ること。
そして、これから福厳寺にご縁が出来る方や、まだこの世に誕生していない人にも、語り繋げる。
私もその一人なのだと、今日の気づきを何度も思い返し、心に刻みたいと感じました。
なぜ“三代”忌?
さて、最後にもう一つ。この行事はなぜ「三代忌」と呼ぶのでしょうか。
盛禅和尚様は最初の住職。それならば「初代忌」ではないのでしょうか?
その背景には、福厳寺の歴史にまつわる、とある深い理由が秘められていました。
大愚和尚様が語られた、そのお話が以下の記事にあります。合わせてお読み頂けましたら幸いです。